河内問題・シンポジウム
あなたを守る社会をつくる
日野市議会議員の【奥野 りん子】です。
6月6日 シンポジウム原稿を掲載します。
「河内副市長の壮大な詐欺を暴く」
まず、この間の経緯について述べます。
私は、2019年の3月議会において、①「河内元副市長の残業時間が、月100時間を超えている事」、②「臨時職員としての雇用形態を大きく逸脱している実態」、③「区画整理組合から2000万円の報酬を貰って兼業している事」を、明らかにしました。弁護士さん達から、そのどれもが違法であるので、提訴可能というアドバイスを頂いたので、有賀さんと共に、裁判へと進みました。
そして、同年、9月議会において、①「川辺堀之内・区画整理組合の事業計画が、不当に変更されている事」、②「川辺堀之内の組合有利に、助成金の規約が変更されている事」、③「調査設計費の中に、河内さんに支払われている委託料を紛れ込ませている事」、④「工事契約の中に「歩掛」という意味不明な支出を紛れ込ませてある事や、工事契約の中身がおかしい事」を、告発しました。
しかし、「疑わしきは談合なのだ」という立場に立っていた有賀さんたちからは、「それは、奥野さんが思い込んでいるだけでしょう?」として、全く相手にされず、ずっと、孤軍奮闘していました。
調査の結果、河内さんの詐欺が、あまりにも壮大すぎる事を知ってしまった私は、とにもかくにも、「誰もが、全容を把握できるようにしなければならない」との思いから、調べ上げた中身を、7万字のレポートにまとめました。(現在は2万7000字に簡略化)
そしてレポートは、昨年の3月に完成したのですが、当時、私は、自分のホームページを持っていなかったため、右往左往しながら、なんとか立ち上げて、やっと、レポートをアップできたのが、6月が終わった頃だったと思います。
そして、8月に入って初めて反応があり、電話が入ってきた相手は、なんと、警視庁でした。
警視庁としては、裁判提訴の報道があった場合、たとえ民事であっても、事件性が無いかどうかを、必ずチェックする事になっているのだそうです。「あなたたちが提訴した裁判よりも、むしろ、こちらの方が悪質ですが、刑事告発をする気はありますか?」と、聞かれたので、「一人では無理です。」と答えました。
すると、「警視庁の方で、立件させて欲しいので、協力して欲しい。」と言われたので、引き受けることにしました。
警視庁は、河内氏の銀行口座の洗い出しが終わった段階で、逮捕可能と言う判断を下した訳ですが、その間を、二人三脚で進めてきた次第です。
警視庁としては、日野市もグルであることを疑っていましたから、会うたびに、「庁内に、誰か、協力してくれそうな人間はいないですかね?」と、聞かれました。
なので、「捜査に対しては、当初から、市長を先頭に協力をしてきた」と、大坪市長が、逮捕直後から言い始めましたが、しかし、私が、警察に相談した日や控訴日を問い詰めても、一切、答えられない現実を見れば、実際のところは、「事情聴取を受けた日野市が、警視庁から促されて、告訴に踏み切った」と考えるのが妥当だと思います。
ついでに、河内さんのその後ですが、区画整理組合に提訴された方の裁判の初公判が、6月15日に控えていますが、今のところ、まだ、全面否認を貫いているそうです。契約書や支払い証明書などの「直接証拠」が、一切、無い以上、「否認」を押し通しさえすれば、有罪判決は、まずあり得ませんから、本人は、強気の構えのようです。
しかし、警視庁の方は、逮捕と同時に、河内氏の自宅に家宅捜査に入り、河内さんが手書きで残した事件に関するメモを、既に、押収しています。
河内さんが保管していたその「備忘録」にあたる「メモ」は、要するに、「騙すに当たっての筋書き」とも言える文書ですから、警視庁の方は、それらを押収した事をもって、「起訴可能」と、判断したわけです。
何しろ、10年にも及ぶ「壮大な詐欺」の道筋ですから、そのメモを見ながらでなければ証言できないという事もあって、捨てるわけにはいかなかったのでしょうが、まさか、そんな紙切れまでが押収されるとは、河内さん自身も、思っていなかったようです。
河内さんが、自分の弁護士に対して、そのメモの事もちゃんと伝えてあるのであれば、メモが押収された事をもって、「全面否認は不利だ」という判断が働くはずなのですが、未だに強気で、全面否認を貫いている事からすると、もしかすると、真実さえも、弁護士には伝えていないのではないかと、推察できます。
いづれにしても、河内氏の闇と言うのは、保留地処分金の疑惑、談合疑惑こそが本丸なのに、「助成金詐欺」という容疑に落ち着いたことからしても、やはり、直接証拠が全く無いだけに、警視庁としても、相当、苦戦したことが伺えます。
河内さんと理事らとは、半ば、共犯関係にあるだけに、被害者の特定が難しく、かつ、「河内さんが、その内実を暴露し始めれば、論建がどう崩れてしまうかわからない脆い側面も、持ち合わせている」という事になります。
なので、警視庁は、確実なところで、「助成金詐欺」での立件に及んだと考えられます。
区画整理によって農地が宅地化された途端に、相続税の方は何億円にも跳ね上がりますから、農家にすれば、「区画整理に乗じて組合に売った事にして、税金を控除された方が得だ」という判断が働くことは疑う余地もありません。
今回の事件は、「河内さんが、農家のその思いを巧みに利用して、上手に、そそのかした」というのが、事の本質であります。
「道路はとっくに作り終えているので、保留地を売って工事費用を捻出する必要は、全く無いというのに、必要もない宅地を整備しては売却して、その黒字を隠し続けた河内さんの行為は、「実は、農家の理事たちの意思に忠実であって、裏側で分配していた可能性もあり、単なる「助成金詐欺」という規模を超えて、「区画整理詐欺」という様相を、呈しています。
以上が、川辺堀之内区画整理事業の問題点、真相と考えます。
次に、警視庁の逮捕の理由について、解説します。
まず、「事業計画の水増し変更」についてですが、21年度の当初計画では、近隣の参考となる㎡単価を18万3000円と設定しながら、初めから、11万8000円と、かなり少なく見積もり、また、国道予定地に住む方の移設費用として、国から降りてくる「公共施設・管理者負担金」も、少なめに見積もってスタートしました。
しかし、交換金が4億アップするや、「日野市がやるべき下水道工事を、区画整理組合でやることになった」と、嘘の説明をして組合の支出を増やし、保留地処分単価を、さらに下げて収入を減らす事で、4億円の黒字が出ないように、修正が図られました。この後、4回の計画変更がありますが、いずれも、助成金がストップしないように、同じような手口で黒字隠しがやられています。
次に、「工事費や調査設計費に、人件費を紛れ込ませた」とは、どういうことなのかについて、述べます。
調査設計に関する業務と言うのは、「特殊調査」以外は全て、企業公社に委託されている事になっていたわけですが、その中に、「業務推進のための業務・委託料」という意味不明な項目がありました。
私は、見た瞬間に、これは、「企業公社が受託した業務を推進するためのコンサルタント契約」として河内氏に支払われた分だ」と、気が付きました。
そこで、企業公社から受注額を資料請求して付け合わせたところ、毎年のように差額が出ていて、8年間の合計は、5億427万円にも上りました。この支出先不明の5億円こそが、朝日新聞が報じた想定被害額であり、うち、2億円8000万円が、河内氏の懐に入り、残りが、理事たちが貰った不当な報酬という事になります。
調査設計に続き、工事費について言いますと、川辺組合では、毎年2件の道路工事がやられています。そのうち一件は、進行管理が企業公社に委託されているので、単価もまともですが、もう一本の道路に関しては、進行管理の発注先が不明であり、架空工事を発注した疑いさえあります。
その理由として、1mいくらの道路になっているのか割り替えしてみると、企業公社が進行管理している道路の方は、せいぜい14万円止まりとなっている道路築造費が、一気に52万円になっていましたし、同じく14万円止まりの整地費が、72万円になっていました。
私がおかしいと指摘したこの点に関しては、「奥野さんの単なる思い込みでしょう?」と、特に否定され、悔しい思いをしたわけですが、調査設計費のみならず、工事費にも人件費を紛れ込ませていたと発表された訳ですから、私の指摘は正しかったという事になります。
そして、工事費に紛れ込ませてあった人件費分としては、他にも、「歩掛」という項目が計上されていると、指摘させて頂きましたが、こちらは、河内さんに召集されて働いていた、市の元職員たちの人件費のようなので、被害額には当たらないかもしれません。
次に、逮捕の際に述べられた説明の3点目、「日野市の規約改正」について、述べます。
河内さんは、平成25年に、元部下の堀之内さんを、副市長として送り込むことに成功しました。そして、その翌年の26年に、早速、「区画整理組合に対する助成金規定」が改正されたわけです。
川辺の事業計画は、区域内の9割の道路を、5メートル道路にするという計画でしたが、日野市の助成要綱が、「幅6メートル以上の道路築造に助成する」となっていたため、当初、55,1%しか助成適用となりませんでした。よって、その規定から、「6m以上」という文言を取り払う事により、助成対象道路が、97,3%に増えたわけです。
川辺組合には、「保留地を処分し終わるまで、事業を完了させるわけにはいかない」という事情があったため、矮小道路や赤道まで、補助金で整備できるようになった事によって、事業期間を引き延ばす事に成功しました。
初めから黒字と分かっている川辺にとっては、この規約改正は、「助成金目当て」と言うよりも、道路を作り続けていられる事に、意味がある改訂と言えます。
そして、28年に、2度目の改正が行われます。
助成対象項目は、道路築造と公共施設のみだったのに、「宅地造成」、「整地工事」、「擁壁築造」、「その他施設」までが追加されました。この「その他施設」とは、「消防団詰め所」や「交流センターのデラックス版」の事であり、まさしく、日野市が行うべき公共事業を、日野市からの補助金でやろうとしていたわけです。これもまた、区画整理の延命のためでしかありません。
また、「整地」「宅地」「擁壁工事」といった、開発業者や不動産会社がやるべき費用にまで、助成金を出す規約改正をさせておきながら、同時に、組合内部においては、「整地や地盤改良といった事をしてくれる優良なディベロッパーには、保留地単価を安くする」という規約を作って、優遇しています。
安く売りさばく事によって出た損失までを、全て税金で穴埋めするがめつさは、河内さんならではと言えます。
最後に、6月議会で、むこうじま保育園に関して、一般質問をしましたので、ご報告します。むこうじま保育園の家賃は、390万円と設定されています。あまりにも高いので、1/3ずつに分けて、130万円を保育園、130万円を日野市、残る130万円については、15年分にあたる2億4000万円を、前払いして地主に支払うという事で、議決されました。
当時は、保育園の家賃としか説明されませんでしたが、今になって、前払い分は、金利だと言い始めました。そこで、検証してみたわけです。
まず、家賃260万円の15年分は、4億6800万円でした。建設費、4億4000万円との差額の2800万円は、実利分という事になります。そして、4億4000万円に対して、金利いくらで設定したら、利子合計が2億4000万円になるのかを調べたところ、3%でした。ここまでは、問題ありません。
問題なのは、「2億4000万円を頭金で入れた場合に、返済は、2億円で済む」という事です。2億円を、金利3%で、15年で返済した場合の利子合計は、1億1348万円に下がり、地主の支払うべき1か月の利子は、50万円になります。
そして、毎月の返済分は、110万円になるので、保育園の支払うべき分は、110万円になります。そうすると、河内さんは、24年以前から、地主と保育園との間で、この家賃問題の協議を始めていて、一番古い河内メモの時点で24年4月ですが、その時点から、「保育園の支払える限度額は130万円だと明言しています。」という事は、その後の税金投入は、要らなかったという事になります。
むこうじま保育園は、26年度から開園していますが、翌年から、東京都の家賃補助が開設され、1700万円のうち1100万円が、東京都から入ってくるようになったため、保育園の負担は、40万円ほどで済んでいますが、その際にも、市は、保育園の家賃よりも多い補助金を出し続けているのです。
もっと、悪質な事には、借り入れが、2億円で済んだ場合の家賃は、110万円で済むはずなのに、260万円の家賃契約を結ばせて、払わせ続けている事です。この場合の不当利得は、1億8800万円という事になります。
そして、さらにさらに、問題なのは、河内さんは、日野市に対して、この2億4000万円は、4億4000万円のビルの建設費用全体の借入利子の合計なのに、あくまでもビル中の、保育園スペースの躯体部分にかかる金利分だと、騙している点です。
市はここで、私の一般質問の通告が済むのを待って、やっと、資料を出してきたわけですが、家賃問題に関して、河内さんが作成した河内メモしか残されていませんでした。そして、この2億4000万円というのは、二つの費用の合計、則ち、「保育園部分の建設費=18200万円を、金利5%で、30年借りた場合の利子合計=1億6900万円」プラス「年間15万円の実利の30年分=7000万円」の二つを合わせた総額だと、説明しています。
しかし、18200万円を、金利5%で、30年借りた場合の利子合計は、6億円を超えます。要するに、河内さんは、日野市をも、騙しているのです。
なぜ、このような詐欺が、検証されることなく行えたのかと言えば、河内さんは、やはりここでも、自分に都合よく、要綱改正をやれたからです。
川辺堀之内区画整理事業では、何と、自分の懐に還流させるための、27種類もの規約が作られたそうですが、向島においては、社会福祉法人に対する助成要綱が、こっそり改正されて、社会福祉法人を経由して、建設会社や地主にまで、助成金を流し込むことができる迂回ルートが作られました。
また、申請や変更届に関しては、「市長が認める場合につき、別に定める様式でも良い」という追加改正がやられました。要するに、河内さんが絡む事業に関してのみ、「資料が全く無い」という現象が起きていますが、こうした改正をしておけば、後で証拠の改ざんや隠滅がしやすくするようにしたと考えられます。
この要綱改正については、議会には図られずにこっそりと変える事ができるため、即、議員のせいだ!」とは言えないのですが、それにしても、日野市の職員と議会が、あまりにも無能であったことが、このような、歴史上初の、壮大な詐欺を生み出す温床になったものと、自戒させて頂き、報告を終わります。