持続可能な未来社会に向けて、日野市らしいSDGsの取り組みを提案する

市民こそが主人公
あなたを守る社会をつくる
日野市議会議員の【奥野 りん子】です。

2021年 3月議会の一般質問を掲載します。

社会を持続させるためには、国や社会を介して、子どもたちの発育・発達を支えていく事、そして、子どもたちが、無事に、健康な大人へと成長できる環境を作る事、これこそが、未来社会を築く基礎基本だと思います。その基礎基本を、社会全体の約束としなければなりません。
ところが、この半世紀の間に、子どもたちの育つ環境は、大きく、様変わりしています。
まず、プラスティックなどの石油製品、自然界にはない化学物質が巷にあふれ、環境中に大量に蓄積された事により、1990年代後半から、健康被害が問題視されるようになりました。
ゴミとして放出されたプラスティックは、紫外線や海水や風によって劣化し、マイクロプラスティックとなり、それがさらに、フィルターをかけても通り抜けてしまうナノプラスティックにまで粉砕され、上昇気流に乗り、世界中を漂っています。
そして、雨や雪と共に地表に落ち、土が汚染され、加地区の体内に蓄積しています。
海へは、年間800万トンも流れ出していますから、このまま放置すれば、21世紀の半ばには、魚の量を上回るだけでなく、放置するならば、魚は、死滅するそうです。
1人の人間の体にも、名刺一枚分の「マイクロプラスティック」が、既に蓄積している事がわかっていますが、放置すれば、防護マスク無しでは、外に出られなくなるわけで、「第2の放射能」と言っても過言ではありません。
さらに、「巷にあふれた有害なもの」としては、除草剤もその一つと言えます。日本で最も売れている除草剤で、ラウンドアップという製品がありますが、アメリカでは、学校の用務員として、毎日、この製品を使い続けた男性が、ガンを発症したとして、悪名高きモンサント社を提訴していますが、このモンサント社に対して、州裁判所は、2200億円の賠償金支払い命令を出しています。
そして、そのモンサント社は、自社製の除草剤をかけた場合に、雑草は枯れても、作物自体は枯れないようにするために、遺伝子を組み替えた種を開発しました。バイオメジャー・世界の巨大な種苗メーカーによって、虫が食べると死んでしまう成分を遺伝子の中に組み込む「農薬要らずの野菜」が、次々、開発されています。
そして、「巨大資本」言いなりの我が国においては、国内において、その種しか使えなくしていく「売国奴法」までもが、可決されてしまっています。
ところが、世界を見渡せば、フランス、インド、台湾では、2030年までに、プラスティック製品の使用を禁止しますし、アメリカ、サンフランシスコ州では、ペットボトル飲料水の販売が禁止されました。また、イギリスでは、2025年までに、ガソリン車の製造を禁止するなど、世界はSDGsに向けて、着々と前進しています。
そんな中で、日本政府の動きの鈍さはあきれるばかりですが、その日本政府から、「SDG2の取り組みとして、全国の最先端を走れ!」と、印籠を渡されたのが日野市という事ですから、SDGsの取り組みに関しては、ぜひ、国が後追いするくらいのイニシャチブを発揮することを求めて、質問するものです。

ここから、質問に入ります。
市を挙げて、まず推奨して頂きたいのが、
① 「化学物質フリー」
② 「プラスティックフリー」の2点です。
まず、「化学物質」に関して、伺います。
「除草剤」に関しては、雑草を枯らすだけでなく、地中にいる微生物やセミの幼虫まで殺してしまいます。川に流れ出せば、水中生物にも、生態系に悪影響が出るわけですが、一方で、学校現場を始めとした公共施設においては、「使用禁止規定」がありません。
という事は、「学校ごとの判断で、使用できてしまう」という事になります。
(質問1)として   
こうした現状を踏まえ、公共施設、公共住宅での「除草剤」の使用禁止規定を、明確に定める事、市民への周知を求めますが、いかがでしょうか?
回答

次に、「遺伝子組み換え」に関してお聞きします。
「食品添加物」「ポストハーベスト」「遺伝子組み換え食品」に関しては、日野市の学校給食では、既に、「極力使用しない」というルールになっています。また、生産過程が見える地場野菜を使用していますが、その割合は、30%を超えたという報告もありました。
学校給食に関して、日野市は、食の安全に対する意識の高さを、伝統的に受けついできた自治体であると言えます。
学校給食は、週に3回は、国からの指示により米飯給食、残る2日が、パンまたは麺類となっていますが、ここで問題なのは、「遺伝子組み換え小麦を使っていない」という保証が無いという事です。その点については、改善の余地があります。
(質問2)として   
今現在、「遺伝子組み換え食材を使わない」という学校給食のルールに関しては、「できる限り」規定に止まっています。 
これを「禁止規定」とするよう求めますが、いかがでしょうか?
回答

「遺伝子組み換え食材」を100%禁止するためには、給食費を値上げせざるを得ません。
学校給食を、完全無償化する事は難しいかもしれませんが、安全な食材の供給に関しては、既に、地場野菜に対して実施していますから、その助成制度の枠を広げる対応は、十分、可能だと思います。ぜひ、検討願います。

(質問3)として、「マイクロプラスティック」や環境ホルモン対策について伺います。
アメリカの調査では、ペットボトル飲料水の90%超にプラスティック粒子が混入しているそうです。20代の成人男子の8割以上から、遺伝子異常の染色体が、精子から検出されたそうです。
日野市は昨年度、スマート・プラステック宣言を行い、市を挙げての取り組みを始めていますが、こと、マイクロプラスティックに関しては、捨てられたごみが原因なので、ブルー袋で回収して燃やす事業は、決して、有効とは言えません。
マイクロプラスティックに焦点を当てた対策も、ぜひ、膨らませて頂きたいということでお聞きします。
プラスティック製品の「ポイ捨て禁止」ポスターや「浅川・多摩川の清掃活動」、「使い捨て不燃マスクから洗えるマスクへの切り替え」、「オーガニック製品の推奨」といった取り組みなど、推奨して頂きたい、かつ、地球のために何ができるのか、市民からも、アイデアを求めて頂きたいと思いますが、いかがでしょうか?
回答

洋服は、素材が何であれ、洗濯する度にすり減って、薄っぺらくなっていきます。この剥がれ落ちた分が、全て海に流れ込み、ウイルス並みの小ささで、何百年も漂う事になります。
先進国に住む人の体には、こうした環境ホルモン、則ち、内分泌かく乱物質も蓄積されていて、胎児期に環境ホルモンにさらされると、男子の生殖能力が減少し、女子の思春期が早く始まるという研究論文も出ています。また、先日のNHKスペシャルでは、ナノプラスティックが母乳に混入する量が多いほど、生まれた子どもの知能が低下する事がわかったと報じていました。
便利な社会は、全てが、こうした危険とセットである事を、しっかりと市民に周知していかない限り、プラスティック使い捨て天国からは脱却できないと、捉えるべきです。

次に、「持続可能」という観点から、今、もっとも見直されているのが、「生活協同組合」だと思います。
生活協同組合には、
「余計な容器包装を、避けることができる」
「オーガニック食品を購入でき、食の安全が確保できる」
「自宅まで届けてくれるので、ガソリンの消費を抑えられる」というメリットがあります。
まさしく、斜面地・交通不便地にお住いの高齢者には、打ってつけですし、コロナ化においては、スーパーの三密を避ける事を目的に、生協の加入申し込みが増えているようです。

今から20年前であれば、市内の生鮮食品を扱う個人事業主への遠慮があって、「生協を推進せよ!」という要望をすることなど不可能でしたが、その個人事業主も、この20年間の間に、大手スーパーに淘汰されてしまっていますから、斜面地や生鮮食料品店の無い地域にお住まいの方のご不便は、増大する一方です。
市内に約4万7千人おられる高齢者の、買い物や食事を公的に支援するためには、食料を玄関先まで届けてくれる生活協同組合を、もっと、活用すべき時代が到来していると思います。
以上を前提に、(質問4)として、2点伺います。
① 高齢者を、「介護に繋ぐと同時に、生協にも繋ぐ」という方針をもって頂きたいと思いますが、いかがでしょうか?
② 学校給食の食材に関しては、遺伝子組み換えが心配される素材については、生協から一括購入する方向で、生協と提携できないでしょうか?
回答

ここまでは、「持続」をテーマに考えてみましたが、ここからは、「循環」をテーマに考えたいと思います。
物事を循環させるためには、何と言っても、農地が基本となりますので、農地に関して、2022年に生産緑地指定が解除されますが、その1年前となった現段階において、現状を確認させて頂きたいと思います。
(質問5)として、
1,生産緑地の指定解除によって、日野市の農地はどうなるのか?
2,学校給食への野菜の供給は、今後も、30%台を維持できる見込みなのか?
3,市民農園は、どうなるのか?
再質問もいっぺんにお聞きしますが、
4、日野市の空き家の件数はどうなっているでしょうか? 
回答  
1,農地は減っている。
2,指定解除になっても、それほど影響はない
3,当面は大丈夫
4、10年前の段階で7000軒 今は1万件で横ばい。

 区画整理によって、農地を急激に減らしてしまったことは、社会的財産の損失であり、SDGsの描く未来社会にとっては、逆行したイメージの「まちづくり」であったと思います。

今、世界では、感染症パンデミックや、気候変動や異常気象による災害や不作が、地球規模で起きています。日本政府には、輸入がストップする事態に備えて、食料自給率を上げるという大きな使命があります。そして、世界がどういう状況になっても、市民の命と健康を守れるような体制を構築する使命がある点では、自治体も同じです。
まさしく、そこを踏まえたコントロールができて初めて、持続可能な未来社会の展望が開けることになります。
では、日野市の現状は、どうなっているかと言えば、農地がどんどんアパートに取って代わった結果、空き家だらけになっています。お祭りのできる場所は減り、気軽にキャッチボールできる公園を探してみたら、市内に一か所しかありません。
これからの人工減少社会においては、「空き家」から「空き地」への転換が必要です。
即ち、「空き家」をストックする自治体ではなく、「空き地」をストックする自治体へ、変身すべきと考えますが、いかがでしょうか?
この点にとっては、後程、市長に伺いたいと思います。

最後に、農地を起点にした循環型社会について、伺います。
SDGsの取り組みには、「貧困の解消」も、課題として取り上げられています。
日野市内においても、フードバンクからの支援を受けて、子ども食堂の取り組みがやられていますが、「貧困世帯に対する食糧の提供」を目的に、農地や産業も含めた循環システムを、公的につくれないでしょうか? 
まず、「日野市・満腹ネットワーク」とか、何とか銘打って、ラインを開設します。そして、希望する貧困世帯に、登録して頂きます。今や、スマートフォンは最大の命綱ですから、貧困ラインでも、携帯電話は所持しているご家庭の方が多いはずですが、携帯がない世帯への支援も同時に行います。
供給側として、不揃いで出荷できない分や自家消費できない分の提供に、同意してくださる農家や市民農園の利用者の皆さんに、登録して頂きます。
そして、場所は、市内に最低、6か所程度はあった方が良いと考えますが、野菜の提供場所を設置する事が可能な農家さんに代表になって頂き、その方を代表として、「貧困世帯向け野菜の提供」に限った満腹農園を結成して頂きます。
供給農家が、野菜を提供したい場合には、ネット上に、「神明満腹農園、ニンジン30本」と書き込んでいただき、提供場所に届けてもらいます。応募者は、ライン上の一覧表に、名前と本数を書き込んでいき、30本に達したら締め切ります。
応募者は、ニンジンを受け取ったら、ライン上で申し込んだ名前にチェックを入れれば、それで完了です。受け渡し場所は、ラインに加わっている方しかわかりませんから、無人でも十分に、運営可能です。
さらに、フードロスの解消も視野に入れた循環にしていくことを求めます。
どこのスーパーも、閉店間際のタイムセールの時間帯が混雑している現状を考えれば、現状として、物価が生活水準を超えている事は、間違いありません。
コンビニやスーパーで廃棄されるお総菜については、賞味期限は切れても腐っているわけではありませんので、廃棄決定の食材の中で配給可能な分があれば、大量に廃棄するのではなく、希望する方があればお分けしていく仕組みを、価値協創によって作れないでしょうか。
登録店舗のほうで、ライン上に配給物資を書き込んで頂き、朝起きてラインを見れば、どこのコンビニ・スーパーに取りに行けば良いのか、わかるようにしていきます。もちろん、そちらも、行ってみたら既に無かったという事がないように、申し込み制にすることが重要かと思います。こうした仕組みを作っておけば、いざ、災害や感染症が起きても、貧困世帯に「食料が手に入らない」という事態は防ぐことができます。

供給側になって頂いた農家やスーパー、コンビニには、ネットに配信する手間や管理に対して、日野市から手数料をお支払いし、協力店として表彰し、宣伝して差し上げれば、「市内産業と行政との連携」として、全国的にも初めてのモデルケースとなります。
市民農園の利用者の方も、近くの満腹農園に登録して頂き、そこに出荷できるようにします。そして、「提供量に応じて使用料が安くなる」といったシステムなども導入していけば、活性化するのではないでしょうか?
(質問6)として
日野市が主導して、ボランテアや行政、子ども食堂や・農家、JA、スーパー、コンビニなど、関係団体に働きかけ、こうしたシステムを回していける供給基地を設立する事を求めますが、いかがでしょうか!
回答

今、日野市には、都市づくり公社にも土地開発公社にも、ちまちました区画の土地しかストックされていません。そして、農地については、後継者不足につき、農業がいつまで存続できるのか、先行きは不透明という課題が残されています。
農地は、小学生が産業を学ぶ際に農業体験できる場所として重要ですし、同じく、不登校のお子さんやフリースクール、障がい者教育の現場でも、効果があると認められています。
その体験農園に、小学生が歩いて来られる距離を考えれば、これもまた、市内6か所くらいあった方が良いかと考えますが、普段の運営管理は、ボランテア組織やフリースクール・障がい者施設等に関わってもらい、植え付け、草むしり、収穫の時期になれば、各学校から代わる代わる来てもらって、農業体験をしてもらう。農業と教育のコラボレーションです。
将来的に農家が減ったとしても、こうした体験ができ、持続させていくためには、今から、そうした循環を目指した目標を設定し、環境整備をしていく必要があります。
質問7として
こうした循環システム・取り組みを含めて、農地を公的に残すことを、まちづくりの基本方針とすることを求めますが、いかがでしょうか?
回答

最後に市長に伺います。
まず、今回の一般質問で、私が提案させて頂いた7件に関して、見解を伺いたいと思います。
また、2022年以降、農地の買い取り申請があった場合には、まちづくりの将来をしっかりと設計した上で、まとまった土地の買い取り申請があれば、必要に応じて、公共用地として買い取り、農地として残していく事も重要ではないかと考えますが、その点について、見解をお聞かせください。