「河内メモ」は、日額給を詐取した証拠と成りえる  2021年 2月7日作成・2月12日校正

市民こそが主人公
あなたを守る社会をつくる
日野市議会議員の【奥野 りん子】です。

「河内メモ資料9-①から⑤」「総務課長②のメモ」を検証する。

1,登場する人物と役職・そして当時の背景

市長=日野市立病院の設置者

馬場市長=河内氏が、副市長、病院経営専門監を経て、臨時職員に切り替わる際の市長。違法性のある日額給の支給に関しても、その在任中にスタートしている。

大坪市長=馬場市長の後継者。日額給の支給決定時において市長では無かったが、是正処理に関しては責任あり。

河内氏については、臨時職員にはあるまじき違法な形態で雇用契約が成されているが、誰の決断によるものなのかが不明である。日額給の支給に関しても然り。雇用に関して日野市は、「市長特権条項」に基づく採用だと説明しているが、その採用した本人である馬場元市長自身が、ヒアリングにおいては、河内氏を雇用する必要性について認めていない。

臨時職員としての雇用契約にしても、日額給にしても、なぜ、市長が承認したつもりの無い契約が成立してしまったのか?一連の証拠資料に基づくならば、河内氏の詐欺的手法によって、契約が成立してしまった事は疑う余地もない。私たち市民は、裁判において、二人の市長の管理責任を問うしか術が無いが、それを不服とするならば、市長は市長で河内氏に対して返還請求をすれば良いと、私は考える。

院長=病院経営のトップではあるが、給与等の事務決裁に関する裁量権は無い。

院長①=河内氏の「病院経営専門監」退任にあたり、河内氏の残留を要望し、臨時職員として残した。「院長相談役」という条例に無い役職を河内氏が勝手に作って使い始めたことを承認。人事権の行使まで認めている。これによって、河内久男という臨時職員の独裁体制が構築された。その点に関して責任あり。

院長②=河内氏の残留が確定した1年後から院長に就任。現院長。河内氏の違法な雇用継続は、この院長②の意向と言える。河内氏の100時間を超える時間外労働に関して、放任した責任あり。

事務長=病院事務方トップ 病院関連予算の全体を管理する

事務長①=河内氏が、病院経営専門監から臨時職員に雇用契約をスライドした当時から日額給が発生する間際まで、病院事務長に就任。

事務長②=事務長①の後任。

総務課長=給与・手当て等の支給に関する責任者

総務課長①=河内氏が病院経営専門監時代から、「病院総務課長、兼、病院参事」として就任。日額給の支給決定に関して、一番深く関わっていると見られる人物。

総務課長②=総務課長①の後任。河内氏1人に対して、2通の源泉徴収票を作成していた不適切の是正に当たった人物。河内氏から、日額給の支給根拠として託された河内メモを保管していた。

2,日額給とは、

河内氏が、日野市立病院・病院経営専門監を退職した翌日の平成24年4月1日より、日野市と河内氏の間で、「週3日・月額28万円」の臨時職員へと雇用契約の変更が行われているが、平成25年1月から平成28年9月までの間、「週の残りの2日分」として日額6万円の報酬を支払う闇契約も結んでおり、「1人の人間に源泉徴収票を2通発行する」という行政にあり得ない雇用形態であったことが発覚した。この、条例に違反して極秘に支払われたこの闇報酬分につき、私たちは、ただ今、返還請求を求め提訴中である。

3,河内メモとは、

行政内部においては、雇用に関して契約や変更の必要性が生じた場合に、まず、その課の課長補佐によって、上司にお伺いを立てるための文書(回議書)が作成される。そして、課長、部長、市長と、決裁権者まで上げられる仕組みとなっていおり、最終的に、全員の押印がそろって初めて、契約や変更に至る。

しかし、この日額給に関しては、回議書を含め、支給に至る経緯のわかる文書が、庁内のどこにも存在しない。そのため、誰が、この闇給与の支給を決裁したのかが、全く不明となっている。

この日額給に関する資料として、日野市の内部に、唯一保管されていたのが、「河内メモ」(下記に転載した病院関係資料№9-①から⑤)である。

このメモは、市立病院 総務課から、河内問題を解明するために日野市が招集した「第三者委員会」に対して、提出された資料である。河内氏との間で日額給の是正交渉に臨んだ際に、「この資料を参考にして欲しい」と、河内氏本人から言われた病院総務課は、これらメモを受け取り、総務課長補佐の机の引き出しにしまい、施錠、保管していた。

4,河内メモをどう見るか?

河内氏が、日額給の支給根拠として保存していた資料9-①~⑤は、河内氏、病院事務長、総務課長の3人が、それぞれ作成した形になっている。しかし、最終段階において、「総務課長①が事務長①にお伺いをたてた」と思しき9-④以外は、全て、河内氏が作成した可能性が大である。

その本物かもしれない9-④にしても、河内氏には逆らえない状況の下で、N総務課長が本意を脇に置いて書かざるを得なかった疑いが濃厚である。いずれにせよ、こうした文書を作成した理由は、「口頭による契約」があったかのように見せかけるために外ならない。

河内メモは、院長や事務長の決裁がないのに支払われていたこの「日額給」の契約について、あたかも決裁があったかのように見せかけるために、「証拠として偽装された文書」と言える。

それらに書かれた内容が真実であれば、河内氏が、総務課長①との間で、どのような調整と合意を取り交わしながら、この闇報酬契約の成立に至ったのか、一連の経緯がわかる資料となる。

逆に、河内氏と総務課長①との間で結んだ密約文書であったのであれば、河内氏がこのメモを保管していた理由も理解できる。

自らがドンとして君臨する病院内部においては、このメモをもって「契約は成立している」と押し切ることはできると、河内氏自身は考えていたようだが、このメモは、社会通念上、違法契約の証拠にしかならない。

臨時職員でしかない河内氏の給与が、市長の給与をも上回るというあきれ返る事態は、この「日額給」契約の中身である「市長特命事項」への対価によって補強されていた。この明らかな違法に関しては、日野市の内部においては「極秘」にさえしておけば通用したかもしれないが、対外的、常識的には、全く通用する事の無い話である。

5,「総務課長②のメモ」とは、

日額6万円の支給は、病院総務課長①の時代に決裁され、25年1月からスタートした。26年4月に、総務課長②が、その後任として着任。この総務課長②の主導で、28年から「日額給」の是正に向けた交渉が始まっている。

以下に転載した病院関係資料の№15は、「河内氏と総務課長②との間で行われた日額給をめぐる是正交渉の中で、河内氏側から、日額給の契約根拠として資料9-①~⑤が提出され、課長補佐の机の中に、行政文書として保管された経緯」に関して、第三者委員会が、総務課長②に事情聴取した内容の要点録である。

6,「河内メモ」に対する日野市の取り扱い

日野市は、日額給は、「正式な契約行為に基づき、行政行為として支給された正当な報酬であることにより、合法」と主張しているが、日野市の行政内部において、日額給の支給根拠と言える資料は、この「河内メモ」しか存在しない。そして、そこに書かれた内容は、「理事者の承認を得ぬまま、河内氏と日野市職員との間で交わされた闇契約によって支給された報酬」こそが「日額給」であることを匂わせる物証となっている。

「闇報酬」であれば、由々しき事態であるにもかかわらず、日野市は、「信ぴょう性が無い」として、その内容を無視している。かつ、自分の権利を証明する根拠としてこれを作成し、保管していた当事者である河内氏ですら、ヒアリングにおいては、「この文書は知らない」と言い出している。

こうした現実は、河内氏と日野市、双方ともに、このメモは、自らの違法性の証明となりえることを、自覚しているという事になる。

 

以下、「資料15」、「資料9-①から⑤」までの原文を      💛から        💚の間に転載します。

【市立病院関連資料№15】は、第三者委員会が、総務課長②から聞き取った内容である。

              💛

市立病院関連資料 №15    令和元年12月2日 市立病院

1、河内氏に係るメモの取り扱い経緯 (②総務課長より聴き取り)

①いつ入手したか?

確か、「二つの給与明細が存在する事がおかしい」と、○○課長補佐と、当時の事務長②に指摘し、対応について報告、相談した時期だと思います。平成28年ぐらいかと思います。(注1

 

②どのようなルートで入手したのか?

相談役は、メモの内容通り、週3日の契約と週2日の契約は、それぞれ理事者承認のものと、ご自身の正当性を常に主張されていました。メモはあくまでも、情報提供として、病院の人事給与を所管する総務課長として、根拠資料として情報提供するため、保管して欲しい注2とのことでした。なお、内容について、当時の事務長にもお渡しし、かつ補完する事もお話ししました。注3

 

③どう保管していたのか?

総務課長の袖机に、施錠保管しました。注4

 

・事務長には事務長にはどのように報告したのか?

・②と重複しますが、2つの明細を一本化する際に、事務長にも相談しながら進めておりましたので、

メモの存在も二つの契約の事も、事務長には報告・相談しております。(注8)

 

・日勤給の支給の経緯

    • 何時から支給されているのか

日勤給については、院長相談役就任時より支給されております。制度設計については、河内氏が、経営専門監在任中に、意思決定されたものだと思われます。(注5)週3日勤務契約期間中は継続していました。

・支給根拠

雇用確認書上は明記されていない。市と河内氏の間で文書によらない口頭による労働契約があり、労働の対価として謝礼を支払う要業務命令が出ており、支出負担行為が行われていたものと認識されていた。注6

・支給のルールは?

週2日分を、日勤給として支給。(木金想定)。祝祭日についても同様。事務担当者が金額を算出し、総務課長決済にて支出命令処理を行うよう、引き継ぎされていた。(注7

                                                💚

(注釈説明)

注1 河内メモを入手したのは、「平成28年ぐらい」について→

総務課長②は、26年4月1日付で着任しているので、引き継ぎの時点でおかしいと気が付くはず。2年後の28年になって気が付くのはおかしい。

総務課長②は、源泉徴収の異常については、課長補佐から知らされたと市議からの質問に対して答えている事も踏まえ、「課長②が気付いたのが28年」が真実だとすると、総務課長②は、日額給の支払いについて、前任の総務課長①から正式な引き継がされていなかったという事になる。

逆に、「課長②が気付いたのが28年」が真実ではなかった場合は、「偽証」にあたる。

注2 「病院の人事給与を所管する総務課長として、根拠資料として情報提供するため保管して欲しい」について→

この発言から、「この件を相談し任せるべきは、事務長ではなく、総務課長だ」というのが河内氏の認識だとわかる。実際に、日野市の事務決裁規定もそうなっており、河内氏がこの件でやり取りしたのは、事務長①ではなく、総務課長①だったことがわかる。

そもそも、事務長に話が通っていたのであれば、河内氏は、河内メモなど持ち出す必要はなかった。

「事務長の決裁のもとで行われた公式な契約」であったならば、総務課としては、河内氏本人ではなく、決裁した事務長を相手に是正協議をし、変更について事務長による決済を済ませて、河内氏に従わせれば良いだけの話だが、総務課長②は、そこをすっ飛ばして、河内氏に直談判している。

給与や手当に関しては、職員課長の決裁権限の強い分野であり、本来なら、全職員について、職員課長に委ねるべきだが、入れ替わりの激しい病院現場の臨時職員に関しては、市長や院長や事務長を通さなくても、病院総務課長が決裁してきた経緯があった。

河内氏は、その特殊性を利用して、自分の雇用契約を「病院直接雇上げ」であると強調し、意図的に本庁から切り離していっただけでなく、総務課長に強権的に働きかけ、自分の思うままに従わせていった。

注3 「当時の事務長にもお渡しし、かつ補完する事もお話ししました。」について→

当時の事務長とは、日額給支給決定時の事務長であった事務長①の後任である事務長②の事であるから、事務長②がこの件を知ったのも、「平成28年くらい」という事になる。

ということは、事務長②含め、院内の関係者が、当時、引き継いだ内容というのは、資料9-③の「院長相談役の職務」に記載された職務内容のみであって、日額6万円が、その対価として支払われていた事については、知らされていなかったという事になる。

河内メモ全体を読了後、再度、この「総務課長メモ②」を読み返して頂きたい。

注4 「施錠保管しました。」について→

是正が必要な契約がいつの間にか結ばれていたことが発覚したならば、行政としては、当然の事ながら、事の成り行きについて、検証・解明されて然るべきである。にもかかわらず、これらメモは、日野市として、何も検証された形跡がないまま、保管・封印されている。そして、「施錠されていた」という事は、行政上のトップシークレットであったという事になる。

日額給が支払われてしまった根拠資料としては、河内氏自身から提出されたこの文書しかないのだが、なぜ、日野市がこれを大切に保管されていたかと言えば、後で問題が公となり議会から追及された場合に備えて、「河内氏の主導により発生した不祥事」であることを証明する資料として、保管していたはずである。

河内メモについては、そもそも、病院幹部の頭の中に、「市の元大幹部が起こした不祥事である」という認識があった。だからこそ、「その内容の検証や原因究明を敢えてせずに、施錠して机の引き出しに隠した」と、言われても仕方がない。

注5 「経営専門監在任中に、意思決定されたものだと思われます。」について→

日額給の支給は、河内氏が24年4月に臨時職員として雇用されてから8か月後の、25年1月からスタートしている。日額給の支給が、河内氏の経営専門監時代に政策決定されていたのであれば、臨時職員になったと同時に、支給がスタートしていなければならない。よって、総務課長②のこの認識は誤りである。

決して、経営専門監在任中に決まった話ではない。

ヒアリングによれば、河内氏は、自分の給与や待遇に関する増額要求が激しかったと、複数の職員が答えている。また、その激しい交渉は、24年度の半ばから始まっており、「25年の1月分から支給」が決定したのが、25年の1月末であったことも、この河内メモからわかる。

仮に、経営専門監時代に決定されたのであれば、市長代行としての絶大な権限も有していた頃であり、河内氏の一存で決定することも可能であったため、市は、「公式契約だった」と突っぱねることもできる。市は、経営専門監在任中に意思決定されたものだと思い込みたいのであろう。

 注6 「①雇用確認書上は明記されていない。市と河内氏の間で文書によらない②口頭による労働契約があり、労働の対価として謝礼を支払う要業務命令が出ており、支出負担行為が行われていたものと認識されていた。」について→

・雇用確認書とは、契約時に交わすものである。この日額給の契約は、上述の通り、契約途中の25年1月から発生しているため、「雇用確認書上は明記されていない。」のは当たり前。「雇用確認書」=契約書よりも、契約内容を変更するにあたっての回議書=稟議書の方が必要なのだが、そちらについても存在しない。

・口頭による労働契約と言っても、この日額給の契約に関しては、いつ、市の誰と、どのような契約を交わしたのかについて、河内氏本人でさえ、明確には語れない。

仮に「口頭による労働契約」が、条例上、認められるとした場合でも、その労働契約の主体が特定できないという事は、則ち、決裁権者が存在しない違法契約である事を意味する。この不可解な実態をして「契約が成立した」事にはならず、契約自体が無効である。

誰がそのような業務命令を出したのかについては、証拠となる資料は、この河内メモしかないにもかかわらず、日野市が、この河内メモを証拠として認めないのであれば、河内氏と契約を結んだ人間について特定する責任がある。

少なくとも、日額給がその対価とされる「市長特命事項」に関しては、「市長がお願いした事実はあった」とした場合でも、馬場市長が業務として命じた証拠は、どこにも無い。よって、「日額給は市長決済である」という話を持ち出しても通用しない。日野市の関知しないところで結ばれた契約であることは明らかである。

院内のどの職員が、河内氏とどのように関わり、どのような経緯を経て支給に至ったかを、徹底的に検証する必要があるが、その経緯がわかる資料として、河内メモは、日野市によって、あるいは、裁判資料として、証拠採用されるべきである。

行政において、理事者が承認した制度設計を、理事者の許可なく、部下である総務課長が勝手に是正、変更する事は許されない。

この日額給が、日野市の言うように「合法な契約」という事であれば、是正にあたった総務課長②の取るべき是正の道筋は、「日額給」という制度設計をした人間、業務命令を出した上司に対して、まず、制度設計の変更を交渉すべきである。

ところが、支給開始からたった2年しかたっていなかった是正当時であれば、たとえ口頭契約であったにせよ、決裁した人間が誰なのか、市長なのか、院長なのか、事務長なのかを特定する事は、容易であったはずであるにもかかわらず、総務課長②は、決裁権者を特定することなく、初めから、被雇用者である河内氏本人を相手に是正交渉をしている。決裁したのは、臨時職員である河内氏自身であることを物語っている。

「総務課長②のメモ」は、河内氏に逆らえない立場にあった市職員=総務課長が、闇報酬と認識しながら河内氏と契約した結果がこの「日額給」であることを、市は初めから見抜いていたという事になる。

 注7 「週2日分を、日勤給として支給。(木金想定)。祝祭日についても同様。事務担当者が金額を算出し、総務課長決済にて支出命令処理を行うよう、引き継ぎされていた。」について→ 総務課長②がそのことに気が付いたのは、着任後、2年もたってからだったという事になる。

繰り返しになるが、「同じ人間に二通の源泉徴収を発行する」という異常さを、総務課長②に指摘したのは、課長補佐だったという現実からすると、課長補佐から課長補佐への引き継ぎはやられていたのに、総務課長①から総務課長②への正式な引き継は無かった可能性がある。

 注8 「メモの存在も二つの契約の事も、事務長には報告・相談しております。」について→

資料9-③で後述するように、河内氏は、課長補佐以上の病院幹部に対して資料9-③を配布し、「院長相談役の職務」について意思統一している。その職務の対価が日額給なので、であれば、事務長②はその時点で、異常に気がついたはずなのである。

河内氏が課長補佐以上の病院幹部に対して資料9-③を配布した際に意思統一した内容というのは、どうやら、「院長相談役としての職務」の中身だけであって、その職務を対象にして日額給が支払われていることまでは、周知・公表しなかったものと思われる。日額給は、支給当時、河内氏と一部の職員間において、極秘扱いしていた疑いが強い。、事務長②は、契約の蚊帳の外にいたことが推察できる。

もし、日額給が、「事務長決済」の下に支給されていたのであれば、その是正処理に当たった部下が書く場合、その記述は、「事務長の指示の下、このように対処した」という書き方になるはずである。

一方で河内氏の方は、後々、二重報酬が知れ渡ってしまった時に、それが何の対価として支給されているのかを明確化しておく必要があった。院内に対して、「院長相談役の職務」については周知しておいたけれど、その対価として日額給の支給がされている事自体は、「知れ渡るまで内密にしておいた」という状況が、この書き方から見えてくる。

日野市事務決裁規定によれば、

「日野市 事務決裁 規定」上、臨時職員の任用は部長(=病院においては事務長)の権限なので、河内氏を臨時職員として「雇用契約」する際の直接的な責任は、「事務長」にある。その一方で、契約の「変更」(=日額給)や「更新」に関しては、病院総務課長の責任ということになる。

日野市においては、労働契約が成立した後の「継続や変更」に関しては、本庁の職員課長が、臨時職員も含め全職員に責任を持つことになっているが、医療現場においては、欠員や入れ替わりが激しいために、いちいち職員課を通して採用するのではなく、「病院直接雇上げ方式」という形で、病院総務課長にほぼ、一任されていた。

「当時の本庁・職員課が、病院の臨時職員に関しては、病院総務課の決裁を事後承認していた」ことを熟知していた河内氏だからこそ、氏自身は現業職ではないにも拘らず、臨時職員として再雇用されるにあたって、あるいは、闇報酬の契約を成立させるにあたって、病院現場のこの独特のルールを、最大限、利用したと言える。

臨時職員の契約更新は、法的には「延長は最高1年まで」となっているところを、河内氏に関しては、更新理由が明確にされないまま、6年にわたり、違法に継続更新している。この違法については、誰に責任があるかと言えば、日野市事務決裁の規定上は、病院総務課長である。

同じく、「タイムカード」「時間外労働」「出張命令」の管理についても、病院総務課長の決済となるが、どれをとっても、全病院職員において、河内氏の労務管理のみが甚だしく杜撰であり、特に、タイムカードに関しては、毎月100時間近い時間外労働の申請はフリーパスであったし、いつ、中抜けを指摘されても言い訳がたつように、毎日のように、「出張」に打刻がされていたが、そのでたらめな出張表記に関しても、総務課長①は、是正措置を、一切、行わなかった。

そして、「給与」「手当」「昇給」のみならず、「通勤手当」の認定についても、総務課長の決裁事項にあたるが、河内氏は、マイカー通勤をしていたにもかかわらず、不当に、通勤手当が支給されていた。また、臨時職員は、医師用の院内駐車場の使用を認められていないにも拘らず、河内氏に対して、院内駐車場の使用を認めたのも、総務課長①による決済である。それらの既得権が、河内氏には元から与えられているかのような環境整備に関与したのが、総務課長①であった。

【病院関連資料№9-①】は、河内氏が病院総務課長に対して、自分に日額給を支給するよう打診する内容

               💛

病院関連資料№ 9-① 

相談役の報酬について  24年 12月 28日

1,経過と現状(週3日勤務・月28万円は市の方針、社保なし)

(1)代行から相談役への時、年収900万円、(月75万円)→年収336万円(月28万円)となり、時間外を付けて40%カットで進みました。24年10月から間外カットを20%とした。●●(注1)、院長、院長代理からも残って欲しいと強く要請されている。

(2)課題

①現実的には、3日間で仕事は完了していない。(実働は5日間)

②区画整理の調整、社協センターの移転、たかはた保育園の機能移転、他を、市長指示、了解のもと、仕事を進めている。(一部報酬有)(注2)

③結果5日間、フル出勤、土日も月4~5回、出勤している。

④他の機関からの指摘があった場合、組織としても不都合が存在してしまう。

 

2,事務長の提案 (24・12・13)

(1)

①市の指定の3日、28万円は、変更しないで賃金とし、残り2日間を報酬として、医師より少し下げて計算する。

(1か月8日間くらいとする) 例 8日×(6万から7万)=48万~56万円

②時間外はつけない ③当然、ボーナス無し ④契約6か月更新とする。

(2)●●(注3)は、

・この(1)で報酬を頂き、時間外は打刻するが請求はしない。

・打刻の理由は、この1の(2)2と3を公務として受けている(注4)から  (区画は報酬受けているから別)(注2)

 

3,●●(注3)は事務長(注5)案に 同意するので、「よろしくお願いします」

 

4,ただし、K事務長の考えが変わっていたら、当初、N参事(注11 当時のN病院総務課長は、病院担当参事も兼ねていたにお願いした下の案で 1月からご契約変更願いたい。

・3日間×4万~5万(半コマ=)=48万~60万円

・時間外は、50時間前後にカットする。        文責 ●● (注3)

                                                   💚

(注釈説明)

注1 ●●=市長(当時の馬場市長のこと)

注2 

○(一部報酬有)とは、「区画整理については、報酬を受けている」という意味。

○「区画整理は、報酬受けているから別」に関しては、「日額給の対価には含めない」という意味。

河内氏は、この資料9-①にある通り、賃金アップ交渉において、区画整理組合から報酬を受け取っている事を正直に明記している。そして、河内氏がその報酬アップ交渉にあたってこの文書を取り交わした相手が総務課長①である以上、この文書が取り交わされたのが真実であれば、総務課長①は、河内氏が区画整理組合から報酬を受け取っていたことを知っていたことになる。

にもかかわらず市は、「区画整理組合との兼業に関しては、あくまでも、河内氏が勝手にやっていたこと」であり、「兼業届は出ていないから知らなかった」と、弁明している。かつ、この河内メモ自体が、信ぴょう性の無い資料だと一蹴している。

しかし、臨時職員の場合、空いた時間に関しては、申告さえすれば  兼業が認められているわけなので、これほど 堂々と公表している以上、兼業届を出していない訳が無いのである。河内氏が、市との契約日以外の2日間に関して組合に兼業していた事を、日野市は認識していたと見るべきである。

そして、河内メモは「信ぴょう性が無い」どころか、この内容が公表されれば、自分自身に疑いの目が向けられる危険があるにもかかわらず、自身の潔白を証明する証拠として出してきたことを鑑みれば、河内氏の偽造部分は別として、「総務課長が取り込まれていく過程」を知るには十分である。

逆に、日野市に関しては、河内氏が当時、残る2日間に関して既に区画整理組合の業務に就いていたことを知りながら、その河内氏に言われるがまま、兼業しているはずの時間帯を指定して、日給制の新たな業務を与え、二重になると知りつつ報酬を支払ったことになる。よって、日野市の罪は、河内氏以上に重い。

注3 ●●=河内

注4 「②と③を公務として受けている」について、

ここに記載されている「業務に関しては、河内氏が、副市長当時から取り組んできた業務であり、ヒアリングにおいても、「市長から直接、指示された」と弁明している。副市長から経営専門監に横滑りして後の2年半も、さらに臨時職員に任用変更がなされて以降の7年間も、彼は、副市長のつもりのままで居座り続け、その越権行為については、誰も制御できなかったことが伺える。

注5 事務長①のこと

このメモにまつわる時系列

  • ヒアリングによれば、24年度の後半から、河内氏から病院側に対して、「週5日実働しているのに、週3日分しか賃金をもらっていない」として、是正要求が始まった。
  • このメモに記載されているように、日額給は、12月13日に事務長①と交渉した際に、事務長①案として出されたことになっているが、事務長①はヒアリングにおいて、この内容を否定している。
  • 河内氏は、事務長案でまとまらなかった場合を考えて、項目4を付け足して、総務課長①に提出。

この資料9-①と、後に出てくる9-⑤は、河内氏の肉筆。あとの文書は、ワープロ打ちとなっている。

 

【病院関連資料№9-②】「河内氏から要請された事務長が、院長①にお伺いを立てる内容」だが、偽造の疑いあり。

                                           💛 

病院関連資料№ 9-②  

●●院長 様

院長相談役として、病院勤務続投するための対価条件について、相談を受けましたので、ご判断をお願いします。(注1)

【初めに】

副市長退任後、設置者代行の立場で、経営改善業務を行ってきました。(注2)その後、同時期に院長、設置代行者の退任時期となったが、市長より、院長の続投依頼条件に、●●設置者代行の遺留がありました(注3)ので、院長相談役として、病院直接雇上げ方法にて、院長相談役として続投致しました。(注4)

その時の対価については、地方公共団体として、その他の職員雇上げとのバランスを取る。 (注5)との副市長の命令(注6)がありましたので、週3日勤務にて月額約28万円程度にて契約を行ったところです。

(仕事量については、週3日を超える部分については、時間外の払い出しを行ったところです。)

 

【本題として】

〇相談役続投条件として

相談役からN総務課長あての文書にもある通り、週3日契約で、時間外が恒常的に本給を上回るのは、労基法上も好ましくありません。しかし、副市長からは、週3日間(28万円)は変更しない旨の指示があります。(注7)

 

〇本人の希望に近い方法としては

従来からの週3日(月額28万円)は、ルーティン業務とし、その他として院長相談役業務を、非常勤医師雇上げルールを参考に、概ね、1日6万円とし、週2日勤務を基本に計算する事です。

なお、病院以外の業務については、日野市立病院として対価を支払う義務はありませんので、一切考慮致しません。(注8)

 

・週3日 月額28万円

・週2日 (1日6万円×2日×月4週) 48万円

 

以上の条件で雇い上げることでよろしいか、伺います。(注9)

尚、平成25年4月1日以降は再契約、対価等も含め見直し検討するものです。(注10)

平成25年1月17日

事務長 ●●●● (注11)

                                             💚

(注釈説明)

注1 「院長相談役として、病院勤務続投するための対価条件について、相談を受けましたので、ご判断をお願いします。」について→

まず、「対価条件」という言葉を行政として用いることは無い。表現が不自然であることを病院側も認めている。

次に、公営企業法上、一部適用の段階にある日野市立病院において、院長には、給与の支給決定に関する実質的な権限が与えられていない。よって、その院長に対して、このようなお伺いを立てるなどという慣例もない。「事務長が院長に対して、このようなお伺いを立てること自体があり得ないし、その必要性も無い」というのが、日野市の認識である。

以上の事から、この文書は、院長に伺いを立てる事が目的ではなく、実は、日額給が、院長にきちんとお伺いを立てた上で了解が得られた契約であるものとして、職員の誤解を誘う事を意図して作成された文書と考えるのが妥当である。

そして、この文章には主語が無く、なんとも気持ちの悪い文章である。最低限、「院長相談役として病院勤務を続投するにあたり、河内久男氏から、報酬の見直しについて、以下の通り相談を受けましたのでご判断を願います。」と書かなければ、行政文書としては通用しない。

誰が続投するのか?誰からの相談なのか?がわからないような文書を、事務方トップである事務長が書くとは思えない。逆に、河内氏本人が作成した文章であれば、こういう書き方になってしまってもおかしくは無い。

注2 「副市長退任後、設置者代行の立場で、経営改善業務を行ってきました。」について→

冒頭に、「河内久男 院長相談役は、」という主語を置かないと、文章として成り立たない。これもまた、主語が不明で分脈がわからない文書であるが、この文書をもって院長と交渉した本人が河内氏であったならば、混乱なく意味は伝わる。

注3 「市長より、院長の続投依頼条件に、河内久男設置者代行の遺留がありました」について→ 院長が続投を要望したのは、河内氏が経営専門監=設置者代行当時のことなので、黒丸は、河内氏の事であるとわかるし、院長が続投するにあたっての条件が、河内氏の続投であったという事は周知の事実である。

しかし、だからといって、日額給の支給まで含まれているわけでは無いので、個々に記載する必要は全く無いし、この文章の文脈に至っては、この黒塗りを埋めてもまだ、意味不明である。

関係者からのヒアリングから、院長①に続投を依頼するにあたっては、院長からは、河内久男設置者代行の遺留の要望が出されていたことがわかっている。河内氏は、「院長に続投をお願いする条件の一つとして、河内久男氏を遺留する旨、市長からも指示がありました。」と書きたかったのであろう。

しかし、「市長からの遺留があった」という事実は無かったことは、ヒアリングを読む限りにおいても明らかである。そこで、後で嘘だと指摘されないように、いくらでも誤解ができるような曖昧な表現をしたものと考えられる。誤解させたくてこう書いたと受け取らない限り、この不可解さは理解不能である。

もう一つの矛盾として、当事者である院長に対して、わざわざ、【初めに】と前置きして説明する必要は全くない。前提を押さえるために書かれたこの【初めに】の文章は、この文面を読む院長以外の人間に向けて、河内待望論があることを知らしめるために、わざわざ書きこまれたものと解せる。

この資料9-②は、事務長が院長に対して、あたかも、河内氏の報酬アップを打診した文書であるかのような体裁になっているが、この文書を総務課長①に見せることによって、あたかも「事務長から院長へのお伺いが済んでいるかのように思い込ませることができる」という意図のもとに作成されたものと捉えるならば、この文書がもつ不自然さも、その理由について理解できる。

注4 「院長相談役として、病院直接雇上げ方法にて、院長相談役として続投致しました。」について→ 「院長相談役として」という言葉が重複して使われており、ここでもまた、事務方が書いた文章とは思えない不可解なものとなっている。

この「病院直接雇上げ」という記載は、河内氏の給与に関しては本庁を通さずに、病院と河内氏の間における交渉で決められていた事を意味する。

注5 「地方公共団体として、その他の職員雇上げとのバランスを取る」の後に続く 。について→

「地方公共団体として、その他の職員雇上げとのバランスを取る。」という風に、この文章の前後を、副市長の言葉として「 」で囲うはずだったのが、「 」をつけ忘れているために、この不可解な 。が、突然、出現している。

ヒアリングでは、「河内氏は、ワープロとかの機械を一切使わない方なので、直筆で書いて、事務局の職員に作らせていた。」という証言があるが、その証言に基づけば、河内氏が手書きで書いた文章を職員に入力させ、本人が点検しなかったことにより、このような不自然な状況となったと考えられる。

注6、注7 →

ヒアリングでは、副市長が必死になって反対していたことがわかるが、これら河内氏自身のメモにも、副市長の抵抗した痕跡が残っている。副市長は、「臨時職員が週28万円を超えるような事があってはならない!」と命じているわけなので、その副市長の意思に反しているにも拘らず、日額給に関しては、いかにも、副市長の指示に従った改善案であるかのように表現され、あたかも、それに沿って譲歩しているので問題はないかのように装っている。

注8 「病院以外の業務については、日野市立病院として対価を支払う義務はありません」について→ 事務長①はヒアリングにおいて、「なぜ、このような当たり前のことを記載しているのか、意味不明。自分なら絶対に書かない。」と、答えている。

院長は、河内氏が経営専門監時代から病院外の仕事もしていたことは知っていたが、「区画整理組合を手伝っていたことまでは知らなかった」と答えている。よって、状況を知らない院長に対して、このようなアピールをする必要性は全くない。

では、このただし書きは、誰を意識して書いたのかと言えば、区画整理組合からの報酬が発生している事を認識している総務課長①に向けて、「二重報酬を貰っているわけでは無いとアピールするために書いた」とした場合に、一番、辻褄があう。

ヒアリングにおいても、河内氏の仕事に関しては、経営専門監当時から病院以外の仕事が多かった事を、院内の誰もが認識していたことは明らかである。こうしたアピールをすること自体が、病院以外の仕事が多いにも関わらず、その分の報酬を病院会計から支払わせることに関しては、相当な矛盾と無理があることを、本人自身が一番 自覚していた事になる。

注9 「以上の条件で雇い上げることでよろしいか、伺います。」について→ 繰り返しになるが、日野市には、臨時職員の賃金アップに関して、院長にお伺いを立てる慣例は無い。

注10 「尚、平成25年4月1日以降は再契約、対価等も含め見直し検討するものです。」について→ これら、日額6万円の支給について交渉する文書には、必ず、この「年度末の契約更新時には見直す」という一文が記載されている。

河内氏の臨時職員としての契約は、もともと1年限りであったため、日額給の支給を25年1月からスタートさせたとしても、3か月後の第一回・契約更新時(年度末)には、河内氏の契約が更新されずに終わるはずであったため、この「お手盛り」報酬にしても、順当に進めば、たった3か月間の支給で停止に止まるはずだった。そのたった3か月もさえも認めずにわざわざ抗う事は、自分の評価を悪くしてしまうというプレッシャーを、総務課長に与えたはずである。

注11 =事務長①のこと

資料9-②から見えてくること

この文書は、河内氏が総務課長①に対して日額給の支給を要求する際に、事務長①からも、院長に対して、この文書通りに打診してもらえたと思わせるために、作成されたものと見られる。逆に、この闇報酬が総務課長①と合意の上の支給であった場合には、このような「偽の状況証拠」を敢えて作成して、総務課長①に迷惑をかけない担保としたと考えられる。

このメモに、「病院直接・雇上げ」形式と書き込んだのは、「病院の統括責任者である院長が承認したので、何も問題はない」と思わせたい河内氏の思惑があったと同時に、この契約に関しては、「病院直属なのだから、市長部局は介入できない」と思わせたかったものと見られる。

いずれにせよ、河内氏から、この話を持ち掛けられた総務課長①は、「河内氏を病院の後ろ盾として頼りにしていた院長は、もちろん、この日額給にも合意したであろう」という勝手な忖度の下に、契約の方向で、事を進めたであろうことは間違いない。即ち、河内氏の報酬アップは、院長からの要望でもなければ、事務長による人事評価の結果でもない。河内メモからは、行政側に、そのような意図は全く無いところで、河内氏側からの要求と交渉だけで決まっていった話であることがわかる。

そして、日野市には、「臨時職員」の賃金の上げ下げに関して、院長と事務長が、直接、お伺いをたてるなり、やり取りをするなどという慣例は無いし、給与の決裁権の無い院長に、事務長がお伺いを立てること自体が無意味であることを、管理職である事務長①や総務課長①が知らない訳がない。

なので決裁したのは、結局のところ、総務課長①だと思われるが、仮にそうだとしても、この文書9-②を見せられたからと言って、本人が納得して押印したわけでは無いはずである。

この日額給は、「闇契約」であるという認識が、決裁した側にもあったからこそ、回議書も契約書も残さなかった。かつ、「口頭契約が成立している」=「病院内の裏合意」という言い訳が必要だった。院長と事務長の、病院2トップの合意が成立したかのような体裁さえ整っていれば、それがたとえ偽造文書であったとしても、総務課長①としては、「トップの命令に従ったまで」と逃げ切ることができるわけである。

よって、上記に示した通り、河内氏言いなりの事務を執行してきた総務課長①は、この文書を噓臭いと思ったとしても、院長や事務長の元に、わざわざ確認に行くことも無かったはずである。当時の河内氏は、臨時職員でありながら人事権まで持っていた。もしも事実確認をするために、事務長①のもとに行った事が河内氏の耳にでも入れば、河内氏を疑っている事になるわけであり、そんな恐ろしい事などできるわけも無いのである。

河内メモ全般に言える事だが、文章が稚拙で、言葉遣いに個人の癖があり、行政文書を書き慣れていない人間が作ったことがわかる。起案者は、行政内にいながら、事務方を経験したことの無い人物であろうことが推察されるが、この文書に関わっている当事者の中で、それに該当するのは、まさしく、建設分野の現業畑一筋だった河内氏しかいない。

事務長①について

前提として、市立病院は、公営企業法の全部適用ではないため、河内氏の報酬アップについて、一存で決めるだけの権限は、院長には与えられていない。

かつ、日額給のような、条例に規定の無い特殊な賃金に関しては、市長決済に付すべき事項であり、副市長が抵抗している事からもわかるように、事務長の一存で決めることも不可能である。現に、事務長①は、ヒアリングにおいても、院内事務方トップとして直属の上司である副市長とやり取りをし、「ダメ出しされた」と証言している。

この事務長案でいけば、臨時職員である河内氏と病院が「週30時間以上の労働契約」を結ぶことになるだけでなく、いきなり、70時間を超えて臨時職員を働かせることになる。市役所に置いて認められているのは、病院の意思・看護師と言った現業職のみである。そしてその場合は「特殊事項」にあたり、市長の決裁が無ければならない。

仮に、この河内メモの通りに、事務長①が院長にお伺いを立てて、その合意が整ったことだけをもって、市長決済をすり抜けて成立させてしまったとしても、事務長決済だけではどうにもならない案件であるため、規約違反につき、勝手に決裁した人間に関しては、その責任を問われかねない。元職員課長であった事務長①とすれば、決裁してしまった自分自身が処分の対象となる事を、念頭に置かない訳がない。

給与決裁に関しては、院長が責任を取るわけではなく、責任が事務方トップの自分に集中する。そんな危険を犯してまで独断専行する動機が、事務長①には全く見当たらない。

しかも、日額給は、25年1月分の給与からスタートするが、臨時職員の給与は正規と違い、後払いとなっている。そのため、1月分の給与に関しては、1月の総労働時間が確定した後、則ち、2月に入らないと決裁されない。ところが、総務課長①が事務長①に対して、河内氏の日額給の支給決定の了承を求める文書(資料9-④)の日付は、1月30日付となっている。

直属の上司(副市長)から許可が下りなかったこの案件を、その時点から新たに蒸し返して決済するには、電話一本で同意を取り付けられるわけも無い。事務長①は、副市長の元に出向き、直談判しなければならなかったはずである。事務長①本人に、「日額給について許可したい」という思いがあったならば、1月31日中に同意を得るべく、関係者の間を駆けずり回ったはずであるが、ヒアリングからは、そのように証言する声は全く聞こえてこなかった。

事務長①はこの時期、ガンの療養をしながらの勤務であったことがわかっている。2月1日付で激務の病院現場から異動することが決まっており、事務長自身が、決裁した覚えはないと証言してはいる。仮に、真実が「事務長の独断」であった場合においても、そもそも、その時点で上司の同意を得ていない契約である以上は、本庁から後任の事務長が来た途端に、即、発覚してしまうことになる。

去った職場に綻びを残したまま、リモートで繕うことなど不可能であるにも関わらず、危険を犯しっぱなしで職場を去るような選択を、敢えてするだろうか。事務長①が、そこまでして危険を犯す必然性は、どこにもない。

これが、事務長①の移動後に着任した事務長②であれば、事情は違ってくる。河内氏から、「これが事務長①との間の合意文書だ」として、この9-②の資料を見せられれば、事務長②は、「トップ同士が既に合意した既成事実である」と受け止め、素直に従ったに違いない。

事務長とは、病院職員全体の総支給額を決裁する役職である。よって、事務長①が、支給総額に押印して異動したのであれば、その責任は免れない。しかし、その場合であっても、看護職の入れ替わりがが激しく、毎月、給与の額面が変動するため、総務課長に一任されている病院現場につき、総務課長が、日額給について事務長①には知らせないまま、全病院職員の給与支給伝票の中にこっそりと紛れ込ませた場合は、事務長としては気づきようもない。

そもそも、この9-②自体、本人自身も、自分が書いたものでは無いと主張しているが、事務長本人が記したものとは認めがたい。河内氏を、参事待遇のまま、臨時職で雇用し続けるという違法性をめぐっては、事務長にも責任の一端はあるものと考えられるが、こと、この日額給の契約に関しては、成立した経緯を鑑みて、事務長の責任を問うのは哀れである。

【病院関連資料№9-③】は「日額給について河内氏から総務課長①に宛てた最終文書」

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病院関連資料№ 9-③ 表面  

 

市立病院事務部参事 ●●総務課長様(注1)

25年1月1日からの賃金の取り扱いについて(依頼)

 

いつも煩わしいことお願いして恐縮です。(注2) 以下の件 よろしくお願いします。

 

1、相談役の賃金の課題

(1)実質的な仕事が週5日以上存在しながら、3日勤務である

(2)時間外処理も(1か月120時間以上で 20%カット 割増も無し)限界にあり長時間となると根本的限界が発生する。

・相談役の仕事以外にも、市長以来で公務を実行している。

(たかはた保育園移転、社協センター移転、A街区まちづくり等)

 

2、過去の確認

私の口頭依頼に対し、次のような案が示された

Ⓐ 事務長案 (注3)

・副市長からの指示である週3日は変更しない

・あとの2日分を短期的臨時職員の一日分×1か月8日で加算する

・国保扱いとする

Ⓑ 総務課長案(注4)

・常勤的臨時職に該当させる

・定まっている給料表に、週30時間以内で対応する

3、依頼事項

評価は他者がするという大原則を承知した上で次のようにお願いします。なお、本件について貴殿に迷惑が生じたときの責任は私にあること蛇足ですが申し添えます。(注5)

・当面(25年1月~3月まで)は、Aの事務長案でお願いします。

②平成25年4月1日以降は、再契約時に見直し検討する事を新たな提案を含めて検討します。(注6)

平成25年 1月19日

院長相談役 ●●●●

                                               💚

(注釈説明)

注1 「市立病院事務部参事 ●●総務課長様」について

宛名の「市立病院事務部参事」と「●●総務課長」は、どちらも総務課長①を指す。当時の総務課長①は、「病院参事」の立場で「総務課長」を兼任していた。「参事」と「事務長」は、どちらも部長待遇である。総務課長①は、立場的には事務長と同等だった。むしろ、病院内における職歴は、総務課長①の方が事務長①よりも長かったことから、院内においては、事務長①よりも総務課長①の影響力の方が、強かったものと思われる。

注2 「いつも煩わしいことお願いして恐縮です。」について

病院事務方トップは事務長であるにもかかわらず、事務長①との間で、こうしたやりとりをした形跡は、一切、残っていない。この文言からして、河内氏は、日頃、誰を頼りにして、相談事をしていたかがわかる。

注3 「事務長案」について

この中身は、事務長①から院長に打診して了解されたとされる文書=資料9-②の内容と同じ。実は、河内氏自身が勝ち取りたい案を、事務長①から提案されたと見せかけている。

注4 「総務課長案」について

資料9-①では 

・「3日間×4万~5万(半コマ)=48万円~60万円

・時間外は、50時間前後にカットする

資料9-③では 

・常勤的職員へ該当させる

・定まっている給与表に週30時間以内で対応する 

という風に内容が変化していて、河内氏と総務課長①との間で、何度もすり合わせが行われたことが伺える。河内氏は、とにもかくにも あと3か月間なので、事務長案の方で頼むと依頼している。

注5 「本件について貴殿に迷惑が生じたときの責任は私にある」について

総務課長への最終打診に、「もしもの時の責任は、河内が取る」と、一筆、書き添えているわけだが、この事務長案にした場合に、なぜ、総務課長に迷惑が掛かるのか?そして、どのような迷惑がかかるのか? 本件は、事務長案である以上、もしも何かあった場合には、当然の事ながら、責任を取るべきは事務長という事になる。なぜ、部下である河内氏が、上司の責任を取る必要があるのだろうか?不可解である。

注6 「再契約時に見直し検討する事を新たな提案を含めて検討します。」について

「再契約時に新たに見直し検討します」という元の文(資料9-②)に、「新たな提案を含めて検討」という言葉を無理やり挿入したことによって、意味不明な文章となってしまっている。この追伸は、総務課長①に、「近いうちに必ず、改善される」という期待を抱かせるためと思われる。「新たな提案」の内容が、最後の資料9-⑤に当たる。

(補足説明)

・この9―③の内容が、行政文書として保存された理由は、「N総務課長と河内氏の間の取り決め」という性質を持つために外ならない。少なくとも、この文書だけは、河内氏だけでなく総務課長も、双方で保管していたはずである。

・この1月19日作成の 資料9―③の裏面には、「院長相談役の職務」が記載されている(下に転載)が、河内氏が総務課長に対して、この「相談役の職務」を提出したのは、1月28日である。そのペーパーが、既に1月19日の段階には完成・存在していたとすれば、河内氏と総務課長①との間で、「どういう業務の対価として、日額給を支払うのか」に関する条件整備が、水面下で進行していた事になる。

 

資料№9-③の裏面

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相談役の職務 (平成24年度~)

市立病院の基本的な業務

①第二次改革プランの作成

②第一次改革プランの進行管理

③私立病院の黒字化に向けての業務

④人材育成

⑤各職場、職域、職員との相談協議

⑥私立病院代表的会議への出席

⑦私立病院内主要会議への出席、対応

⑧委託業務の指導、検査

⑨院長相談役

⑩応援団、患者の会への応援、発展

⑪院内調整

B,市立病院としての対外協議等並びに市長特命事項

①市立病院機能向上基本計画から実施計画

②日野社会教育センターの移転

③URのA街区事業と市立病院の連携と補完

④訴訟対応

⑤日野市と市立病院のパイプ役

⑥市立病院が全体として経営健全化に向くような調整

⑦市長特命事項(たかはた保育園移転、20号バイパスの推進、作業サポート)

 

追記 (注1)

参考 平成25年1月に入り、市長、院長、院長代理から、相談役を引き続き、依頼されました。

                                                   💚

(注釈説明)

注1 「25年、1月に入り、市長、院長から、相談役を引き続き依頼されました。」という追記について

市長=馬場市長のこと、院長=院長①のこと、院長代理=現院長のこと

この「市長、院長から、相談役を引き続き依頼されました。」という文言は、繰り返し登場する。繰り返しになるが、この一文を読んだ人間の頭の中では、「この職務は、上記のトップ3から与えられたもの」という勘違いが発生する。かつ、「河内氏の続投が決定しているのであれば、日額給に関しても合意済みだろう」という誤解を招いてしまう。

24年4月に雇用契約された河内氏の臨時職員としての延長期日は、法的には25年3月末であり、ちょうど、馬場市長が大坪市長に引き継ぐ市長選の真っただ中にあたる。現職を退くことが決まっていた馬場市長とすれば、河内氏の続投については、新市長に委ねるのではないだろうか?「馬場氏が河内氏に続投を依頼した」という証拠はどこにもない。

日額給の支給は、総務課内部で内密に処理されていたため、河内氏のこの職務が日額給の対価であることまでは、総務課長②から指摘されるまで、事務長①はもちろんの事、後任の事務長②でさえ、知らなかったようである。そして、「河内の特別待遇は、トップから与えられたもの」であるかのように強調するこの追記によって、この日額給が、あたかも正当な報酬であるかのように、支給する側に思い込ませることに成功している。

河内氏とすれば、日額給の存在が院外に漏れたもしもの場合に備えて、「トップの合意のもとに支払われている報酬」であるように見せかけるために、予め、これら文書を作成した事になるわけで、この記載によって、職員は誰もが、上からの業務命令が出ているものと思い込まされていたことは間違いない。

河内メモに基づいて経緯をふりかえったならば、日額給は、河内氏の詐取に近いと考える。総務課長の関与に関しては、故意なのか、騙されたのかは、現時点において定かではないが、そうした誤解の上に成立した契約であるとは、言えないだろうか。

 

資料9-③の裏面 「相談役の職務」について 検証

1,職務A、「市立病院の基本的な業務」に関して、

①→第2次改革プランは、河内氏自身が作成するわけでは無く、職員が作成したものに目を通すだけ。

②→第一次改革プランも、「もうやるべき仕事は無かったはず」と、馬場市長がコメントしている。

③→黒字化については、Bの6にも繰り返されているが、具体的な実践は何も証明できない。

④→赤字削減に血眼になれる人間を選別するのが、河内流の人材育成。

⑤→「職員との相談協議」と言いながら、河内氏は、セクハラのもみ消しに動いている。

⑥→⑦との区別が不明

⑦→ただの臨時職員なので、委員会に出席できても、指導・監督権限は無い。

ただの臨時職員でしかない河内氏が権力を保持するためには、主要な委員会に参加して、各現場に睨みを利かせる必要があった。この職務規定に勝手に書き込むことで、あたかも市長、院長、院長代理から与えられた権限であるかのように見せかけている。

⑧→「委託業務の検査」は、事務長の役割である。臨時職員に任せるような仕事ではない。

⑨→「院長相談役」と言いながら、具体的に何を援助したのか、院長の口からは何も語られず、実績なし。

⑩→院内調整 上記①から⑨をして院内調整という。最後に敢えて記載する必要なし。

2,職務B、「市立病院としての対外協議並びに市長特命事項」に関して

①→機能向上基本計画・実施計画を、医療の専門家ではない河内氏が中心になって作成できるわけが無い。

②→民間法人である社会教育センター移転に関して、臨時職員である河内氏に何ができたのか? 同席しておしゃべりするだけなら、要らないポジションである。

③→本庁の企画部の仕事だが、臨時職員に対して、具体的に何を命じていたのか?

④→訴訟対応は、事務長が対応し、弁護士に任せるべき事案。臨時職員を市の代表として交渉させたのか?

⑤→同じ行政内において、「パイプ役」の必要性なし。逆に、彼がとった行動は、病院内の実権を握るために、病院を本庁から切り離す事だった。

⑥→Aの③と重複する内容で嵩増ししている。

⑦→市長特命事項の「たかはた保育園の移転」と「20号バイパスの推進」の業務こそが、河内氏が行政マンにしがみついた理由である。日額6万円に関しても、この市長特命事項中の「たかはた保育園移転」と「20号バイパスの推進、作業サポート」の対価であった。

まとめ

「院長相談役の業務」には、事務事業の連絡調整、進行管理、行政評価、事務管理が含まれているが、日野市事務決裁においては、それらの業務は、病院事務長の任務である。同じ業務を臨時職員に発注する場合には、事務長の業務の補佐なのか、分担なのか、監査なのか、雇用契約時点で棲み分けを厳格化していなければ、仕事にならなかったはずである。棲み分けた形跡は、一切、なし。

 

「相談役の職務」を関係者に配布したと見られる「コピー版」(写真下)に関して

日野市が、第三者委員会に提出した資料の中に、「相談役の職務」という書類の原本と共に、河内氏がその原本のコピーに手書きで書き込んだもう一枚の資料が存在する。その資料の下の部分には、「本メモは、1月25日 K事務長よりの依頼で作成」という、河内氏の肉筆によるメモ書きがある。

右上に記載した配布日が黒塗りで消され、2月1日と訂正されているが、この2月1日という日は、事務長①が異動した当日である。異動した事務長①に変わり、河内氏が、新事務長のM氏=事務長②を初め、院内の課長補佐以上の管理職に配布したことがわかる。

繰り返しになるが、「院長相談役の職務」と銘打たれたこの内容は、1月19日の中村課長との交渉時のメモの裏面に記載されていた中身と同じ内容である。課長とのやり取り自体は、既にその時点で済んでいるはずなのだが、河内氏から総務課長①に正式に提出されたのが9日もたった1月28日。そして、総務課長①から事務長①への提出が1月30日。則ち、事務長①の異動寸前の事であり、実に不自然である。

異動でドタバタし、移動先との行き来で不在がちだった事務長①に代わって、河内氏が、新任の事務長②や各課長・係長に意思統一をしたものと言える。

しかし、その意思統一をした日をめぐっては、右上の日付が訂正されている事に注目する限りにおいて、この文書を配布して、院内の意思統一を図ったのは、2月1日よりも、実は、ずっと後ではないか?という疑念が生まれる。

2月1日に、この内容で、院内における意思統一をしたかのように装っているが、実際には、その日ではない可能性が高い。後で辻褄を合わせるために、2月1日に前倒し訂正が行われた模様である。

その理由として、事務長①が異動後に、すぐに意思統一した場合に、引き継ぎのためにちょくちょく院内に出入りをした際に、もしも本人に確認されてしまえば、その途端に、「事務長は決裁していない」という事が、発覚してしまうことになる。そうなれば、元も子もないため、本当に意思統一したのは、ほとぼりが冷めた3月末の臨時職員契約更新時に作成されたと見られる資料9-⑤の意思統一時点ではないかと考えられる。

【病院関連資料№9-④】は、総務課長①が事務長に対して日額給の了承を求めた最終文書

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病院関連資料№9-④  

臨時職員の業務内容変更に伴う対応について

臨時職員として勤務中の院長相談役河内久男氏については、平成24年4月以降、週3日勤務の月給制(月額28万円は理事者の指示)にて雇用継続してきた。また、4日以上勤務した場合には、時間外勤務として手当を支給してきた。

しかし、従事している勤務の中には通常勤務以外に市長からの特命事項等があり、質、内容、量から考えると賃金額が低いので、増額を検討して欲しい、と本人より申し入れがあり、契約内容の変更について協議してきた。

本年に入り、1月19日付総務課参事宛てに「平成25年1月1日からの賃金の扱いについて」の依頼文書が提出された。また、1月28日には、「相談役についての職務」についての文書が提出された。なお、「相談役の職務」において、平成25年1月に入り、馬場市長、K院長、I院長代理から、相談役を引き続き依頼されている旨、記載があった。

このような経過の中、下記のような対応をして良いか、伺うものです。

1、業務内容

※ 業務内容は、資料9-③の裏面に記載された「相談役の職務」の全文が、そのまま記載されている事をもって、記載を省略させて頂きます。← 奥野

 

2、賃金額について

上記の(1)の業務に従事する部分については週3日勤務の賃金、(2)の業務については、臨時職員医師の賃金を準用し、支払うものとする。

 

3,源泉徴収の発行等について

市側は、1-(1)と1-(2)について、別々に源泉徴収票を作成し、本人は必ず、確定申告し所得税

の申告を行う事を確約した。(注1)

平成25年1月30日

文責 ●●●●

                                                  💚

補足説明

この資料9-④は、「河内氏から賃金の増額要求があったので、「相談役の職務」において、日額6万円を支給しても良いか?」と、誰かが誰かにお伺いを立てる内容になっている。

河内メモを踏まえた交渉の流れからすると、「河内氏の闇報酬に関して、最終調整が済んだので、日額給の支給を認めて頂きたい」という趣旨を、総務課長①から事務長①に対して送った(と見せかけるための)文書であることは間違いない。実際に送ったのであれば、その返答もセットで保存されているはず。

ここまでの交渉の経緯

〇24年度後半より、河内氏から事務長や総務課長に対して、頻繁に報酬アップの交渉が始まる。

○河内氏から総務課長に対して、「事務長から提示された日額給6万円でお願いしたい。ダメな場合は、以前から課長より提案されていた案でも良い」という趣旨を打診(9-①)

○事務長から院長に対して、「日額6万円の報酬を認めて良いか?」と打診(9-②)

○河内氏から総務課長に対して、「契約更新時までの3か月間で良いので、事務長案で行かせて欲しい」と打診 ( 9-③ )

○総務課長から事務長に対して、「本人との調整も完了し、日額6万円を支給するにあたっての条件整備も整ったので、認めて欲しい」と打診。(9-④)

(注釈説明)

注1 「市側は、別々に、源泉徴収を作成し、本人は、必ず確定申告し、所得税の清算を行う事を確約した」について

1人の人間に二つの仕事を与え、二人とカウントして、二重に報酬を支払ったわけだが、河内氏に対する労務管理は成されなかった。総務課にとっては、職務の遂行よりも、税務署にバレない事だけが重要だったと言える。

(補足説明)

雇用契約上は、勤務時間が拘束されていたのに、実態はフリーランスであり、病院業務とは関係の無い業務も含めて、病院会計から支払わせていたことや、1人の人間を二人とカウントして、労務管理さえせずに、二重に報酬を支払っていた実態は、あまりにも法体系を無視しすぎていて、とても合法とは言い難い。

日額6万円の支給が違法であることは、こうした側面をもって十分に証明できるが、日野市の「合法的な契約行為に基づいた支給」という弁明については、「書面紛失により、証明不能」で押し切られるため、この河内メモこそが、それを裏付ける資料足り得る。

そして、「日額給は、闇報酬であり、臨時職員として支払った給与について返還を求める前回提訴の中身とは、性質の違う別物として捉えられなければならない。

河内氏の異常な「時間外労働」や「兼業」や「日額給」といった課長決裁事項に関しては、回議書が一切、存在せず、この河内メモしか残っていない事を見れば、この河内メモこそが、「総務課長と河内氏の間で日額給支給の密約が成立した証」と言うことができる。

「市側も、源泉徴収を2通発行する事を確約した」という明記は、要するに、「協議を重ねてきた中で、コンプライアンスもクリアした」「公式な契約であって闇報酬ではない」と強調するためであろう。

しかし、この合意内容は、逆にコンプライアンスを破壊する行為であり、回議書として残せるような代物ではない。病院総務課の内部でしか通用しない合意なので、正式な回議書としては、残せなかったはずである。

そして、河内氏が、こうした段取りを踏んで、このような証拠メモを残したからと言って、どの段階においても、相手からの回答は存在しない以上、庁内の合意が得られたことや合法的な契約であったことを裏付ける証拠にはならない。

この河内メモは、行政の合意の無い契約を、あたかもあったかのように見せかけるために、河内氏自身が、偽の行政文書を作成したと考えれば、全ての辻褄が合う。

 

病院関連資料№ 9-⑤は、河内氏が臨時職員としての契約更新に成功した段階で、自分の院長相談役としての地位を固めるために作成した文書である。

                💛

病院関連資料№ 9-⑤ 

 

●●●(注1)

保存(注2) 25年3月26日(注3)

25年度、河内久男の雇用契約について確認

 

1,24年度までの確認

(1)23年度まで

〇市長代行で、条例に基づく位置づけで、年収約980万

 

(2)24年度

(実態は)

*職名は院長相談役で、●●院長から辞令を受ける(注4)

*24年4月から9月まで、3日勤務で、1か月28万円(前教育長と同じ)実質的5~6日働いたので、時間外を計算して40~50%をカットして請求

*24年9月から12月まで 上記と同様で20%で計算

*25年1月から3月まで 2日分を常勤的臨時職員となる。

(理由は) 〇時間外多すぎる。〇市の方針で、3日28万円守るとのこと

・市長に1か月1回報告(注5)

② 市長特命事項の仕事受けている。(注6)

 

2,日野市長の基本的考え方

3日間は、日野市の意向を踏まえて仕事すること→前教育長と同じく(注7)

・点2日間プラスは、市立病院と河内が自由に契約すれば了解(注8)

3,河内の結論(当時の事務長との協議)

・時職員の3日間と常勤的臨時職員で2日間 時間外50~70時間は請求しない

・仕事の内容は別紙のよう、ⒶとⒷに分ける

(3)25年度

3月25日、院長へ「河内さんの延長は6か月は認めます。それ以降は、新市長と協議してください。」と、副市長からTEL有。(市長の指示のもと)(注9)

この連絡で次のように確認します。

〇24年度と同様、3日はⒶの仕事、2日はⒷの仕事で、Ⓐは臨時職、Ⓑは常勤的臨時職員とする。

なぜ、この確認をするか?は、市から連絡なしでも、新院長の依頼により継続するつもり(注10)

 

4、河内の今後

主要な部分は、なるべく早く新事務長に引き継ぐ。(注11)

ⒶとⒷの仕事をミックスして週1~2日くらいサポートする事を考えている。(注12)

                                             💚

(注釈説明)

注1 「宛名の黒塗り」について→ 文面(注11参照)から、宛名は、総務課長①とわかる。

注2 「保存」と記してあることについて→ 資料9―①から④までの議論を経て決定された到達点を、院内・幹部間で意思統一するための文書として、保存するつもりだった模様。

注3 「25年3月26日」について→ 副市長から連絡があった当日に、この文書を作成したことになる。

注4 「院長から辞令を受ける」について→ 辞令が交付された事実は無い。こう書くことによって、「設置者代行」と同様に、絶大な権限があるかのように、職員たちに誤解させてしまう。

注5 「市長に1か月1回報告」について→ 「病院が直接、臨時職員を雇用」する事はあり得ても、その臨時職員が、「一か月に一度、市長と面会して報告する事」はあり得ない。これは、病院経営専門監であった一年前の話と思われる。

注6 「市長特命事項の仕事受けている」について→ 市長からの正式な業務命令は、馬場元市長の証言含め、存在しない。市長特命事項は、本人が勝手に趣味的にやっていた仕事。

注7 「前教育長と同じく」について→ この言い回しは、総務課長①が、ヒアリングで述べた内容と同じ。職員課と協議した中で授かった知恵のようであるが、河内氏の事として相談したかどうかは、ヒアリングを読む限りにおいて疑わしい。職員課は、「河内氏の個人名を出しての相談は無かった。」と回答しているので、医師の処遇に関する相談かと思って対応していたようである。

注8「市立病院と河内が自由に契約すれば了解」について→ 河内氏は、「報酬の出ない残る2日分は、市長特命事項の任務に当たっているのだから、日額給の支給について契約して欲しい」と要望しているわけだが、その特命事項を命じたのが本当に市長であり、市長が本当に日額給の支給について了解したというのであれば、その報酬について、病院会計で面倒を見させるわけがない。

また、市長特命事項なのに、病院直属=「病院との自由契約」という形にしてしまうと、その任務遂行に関する管理・監督まで、病院に丸投げする事を意味するわけで、そういう、どうでもよい契約であった場合に、それをもって「市長特命事項」とは言わない。

注9 小川元副市長が、院長に対して、馬場市長の意思を電話で伝えてきたとされる内容について→

馬場市長の意思とは、A「河内の続投については、6か月の延長を認める」B「それ以降は、新市長と協議すること」の二つである。Aに関しては、馬場市長が本当に延長を認めたのか、その事実を確認することはできないが、Bに関しては、この河内メモの(注10)から、新市長との協議はしていない事がわかる。

注10 「①新市長から連絡がこなくても、②新院長からの依頼をもって続投するつもり」について→

この文書は、文責の記載はないが、文脈から、河内氏が書いたものであることがわかる。①と書いてあることで、河内氏には、初めから、大坪市長に連絡を取る気が無かった事がわかる。

また、新院長(=現院長)は、院長代行時代から河内派という評判の人物であり、②に関して言えば、新院長からの了解はとっくに取り付けていたと思われる。そして、①の新市長が元部下の大坪氏であれば、「病院直接雇上げ」であると突っぱねて、「本庁に関係の灰話である」と、契約更新の協議の場は持たないまま、スルー出来ないことは無い。これらメモの経緯を踏まえれば、初めからそのように企んでいたことがわかる。よって、「新市長との協議」をしているわけが無い。

注11 「主要な部分は、なるべく早く新事務長に引き継ぐ。」について

「主要な部分」とは、このメモを「取り決め文書」としてコンクリートしようとした内容、則ち、「日額給の支給」と「自分のやりたいように勝手気ままに働く権利」である。2月1日付で、事務長②が着任しているが、3月末のこの時点まで、その中身についてはまだ引き継がれていなかった事が、この一文をもって、わかる。

“院長相談役の職務” コピー版の上部に記載された日付が、黒塗りで消された上で、2月1日に訂正されているが、実は、あのコピーを関係各位に配布したのは、河内氏と総務課長との最終確認のあったこの日=3月25日以降であったと考えられる。

資料9-③に、「再契約時に新たな提案を含めて検討する」とあるが、その再契約時の検討の結果が、この資料9-⑤の取り決めと言える。そして、河内氏に関しては、井上新院長の厚い信頼の下に、「日額給支給」も「 雇用継続」も、そのまま継続されることになったというのが、河内氏にとっての「新たな提案」なのであろう。

しかし、その日付を残すと、河内氏と総務課長との間で成立させた院長相談役の職務に関して、契約の当事者2人以外に周知したのが、この3月25日の最終確認が成立して以降だった事が判明してしまうため、2月1日の事務長①の異動の日に遡って、事後修正したものと考えられる。

そして、この文書(=資料9-⑤ )が書かれた3月末の時点においても、「日額給が院長相談役の職務の対価として支払われていることまでは告知していなかった」可能性が高い。(総務課長メモでは、是正時点(28年)で、事務長が第三者であるかのような書き方になっており、総務課長から指摘されるまで、日額給の支給自体、知らなかったことが見て取れる。)

注12 「ⒶとⒷの仕事をミックスして週1~2日くらいサポートする事を考えている」について→

Ⓑの「市長特命事項」には、区画整理のサポート業務が含まれており、河内氏は、区画整理に関しては組合から給与を貰っていることを堂々と公表している。その区画整理の任務も含めて、週の1~2日、サポートすると記載している通り、彼は自由に兼業していた。

河内氏は、3月25日のこの文書による院内の意思統一によって、河内氏が常に院内にいないのは、「院長相談役の任務」として、この「市長特命事項」を担っているからだ」と、院内に公認させることに成功している。

この「週1~2日」が、いつの間にかルーズになっていったのは、河内氏が自分自身を、この「市長特命事項」という任務を与えられた特別な人間として、院内に認知させることに成功した事による。

勤務中に中抜けしようが、個室で昼寝をしようが、誰も命令・監督する者はいない。誰からも束縛されない完全な自由を確立できた要因である。

ところが、日野市は裁判において、河内氏の雇用については、「市長特権条項に基づく採用につき合法」、日額給については、「支払われてきた現実をもって、正式な契約があったと認められるから合法」と弁明している。

この法を逸脱した特殊な雇用と特殊な報酬に関して、日野市として正当な契約行為だと主張するならば、決裁した当事者である市長の監督責任は免れないが、少なくとも、詐欺的手法によって、河内氏がくすね取ったお金である疑いが強いので、きちんと検証して損害賠償請求すべきである。

河内メモに見られる独特な手法は、川辺堀之内区画整理組合の会計を私物化し、吸い取って行ったやり口とそっくりである。

即ち、他の幹部に見えないところで、要求を実現するために抱き込むべき最大のキーマン1人(区画整理で言えば組合監事)だけを相手に、手順を追って間違った情報を与えつつ、合意を積み重ねる中で少しづつ要求を勝ち取っていくやり方で、そのキーマンは、河内氏との交渉を重ねるうちに、だんだん丸め込まれていき、いつの間にか意に反して共犯者になってしまうので、撤回できなくなっていく。

(補足説明)

「河内氏の契約延長については、院長が新市長と協議して決めるように」という馬場市長の意思が、副市長を通して院長①に伝えられた」という趣旨だが、その時期、院長①も、馬場市長と同じく、引退する事が決まっていた。院長の続投条件が「河内氏の続投」であったことを鑑みれば、「院長が引退した」という結果をもって、「院長の要望ではあっても、河内氏の続投については、その必要性を認めない」という決断を、馬場市長が下したという事を意味する。

なのに、引退する事が決まった院長①に、このような電話連絡をするだろうか? ヒアリングでは、院長からも、市長、副市長からも、そのような証言は出てきていないので、眉唾物である。

河内氏は、この時点において、当然、既に、自身の雇用延長について、去る身である院長①ではなく、新院長となる院長②との間で協議済みであったと思われる。

「続投については、新市長と協議して決めるように」という、小川副市長の言葉が真実であった場合でも、通常、職員の処遇に関しては、現場から理事者に対して協議の申し出があって初めて、協議がスタートする運びであるため、河内氏の再契約や待遇に関しても、病院側から市長に打診しない限り、就任したばかりでドタバタしている新市長側から協議を申し入れることなどあり得ない。

その道筋を熟知しつつ、「病院側からは連絡しない」と言っているわけなので、ここでもまたルールを逸脱している。「市長からの連絡なしでも、新院長の依頼により継続するつもり。」という言葉からは、協議を待つ気など、元から無かったことが伺える。

「副市長からの連絡=行政トップの意思」よりも、「河内氏個人の意思」を上に置いていることになり、間違いなく、行政の私物化と言える。

市長選のゴタゴタもあり、河内氏の続投については、馬場前市長や小川元副市長から新市長に対して、きちんとした引き継ぎは無かったはずなのに、河内氏の臨時職員としての継続雇用は、「1年以上の延長は無し」だったものが、なし崩しに的に継続が繰り返され、聖域化していった。

この3月5日の取り決め以降、河内氏の違法な権力行使に対して、監督できる立場の人間がいなくなってしまったわけだが、この河内メモから見えてくる軌跡(=河内氏が、繰り返し、詐欺的手法を用いて、職員を操り、用意周到に、日額給の契約にこぎつけた過程)を見れば、制御不能な河内王国が構築できたとしても不思議ではない。

 

河内メモやヒアリングから見えてきた事

院長相談役への就任から遡って、真実を検証する必要あり

河内氏は、副市長時代に、「病院経営専門監」という特別非常勤職を創設し、副市長退任と同時に、その役職に天下ったわけだが、驚くべきことに、その「病院経営専門監」には、「病院設置者代行」という肩書まで付いていた。病院設置者は市長であることをもって、文字通り、病院経営に関しては、市長を代行する立場にあったという事になる。

ところが河内氏は、その「設置者代行」という肩書を悪用して、「病院経営専門監」時代から、週に最低一度は 川辺堀之内の区画整理組合に顔を出し、「市長代行」という肩書を使って、進行管理に関する指導や助言を行っている。しかしながら、区画整理に関して「市長代行」の権利が与えられていた証拠は無い。また、当時、「区画整理専門監」という肩書も使用していたが、これまた、「市長代行」や「院長相談役」と同じく、本人が、勝手に名乗っていたのであった。

河内氏は、病院経営専門監を退任した後も、何とかして川辺堀之内・区画整理組合に関わりたかった事が、こうした状況から見えてくる。

川辺堀之内 区画整理組合の組合員に対して、影響力を及ぼすためには、行政の外にいる「元」副市長という肩書よりは、行政内にいて権限を行使できる人間であることを示す「院長相談役」という肩書の方が良いに決まっている。副市長であった彼からすれば、「臨時職員」という地位は惨めではあるが、それでも、公務員の末席に居座ることの方を選択したものと考えられる。

逆に、理事者=馬場市長にしてみれば、副市長まで務めた人間を、臨時職員として、部下だった職員の下に置くことについては、抵抗があったことは想像に難くない。難色を示す理事者に対して、病院に居座り続けるために彼がとった手段こそが、新院長と結託し、自らの雇用を「病院直接雇上げ」というスタイルに切り替えて、本庁と切り離す事である。

河内氏は、この切り離し戦術によって、本庁の意思に関係なく、新院長の後ろ盾をもって、院内に居座り続けることができた。この点に関しては、議会においても、「河内氏の雇用は、院長の要望により、病院が直接雇い上げた形であり、その賃金は、病院会計の中でのやりくりとなる」という、説明が行われていた通りである。

そして、この「議会には図らずに、密かに契約を更新できる臨時職員」というスタイルこそが、引き続き権力にしがみ付くには「格好の隠れ蓑」となり、かつ、70歳を過ぎた人間が公務員で居続けるための「絶好の延命装置」となった。

河内氏は、臨時職員としての雇用契約が成立すると同時に、引き続き院内で、「市長代行」と呼ばせようとしたが、その企みは定着しなかった。結局、「院長相談役」という呼称に落ち着いたわけだが、そもそも、条例には「院長相談役」という役職は無い。

河内氏自身が作り出したこの「院長相談役」という呼称こそが、河内氏が、「院長から特別な権限を与えられた人間」であるかのような印象を、職員に植え付ける効果をもたらした。たとえ、「院長の合意の下」という理屈を付けようが、そもそも、勝手な役職を設ける権限など、院長にも付与されていない。

それにも拘らず、日野市は、自分の事を「院長相談役」と、正規職員に呼ばせる臨時職員の存在を、許し続けた。院内における「臨時職員による独裁体制」は、こうした経緯を経て構築されていった。

河内氏が院長相談役として君臨する過程について振り返った場合に、それが、市長や副市長の思惑に沿ったものであったことを示す事実や情報については、皆無である。(詳細は下段を参照)

ということは、「日額給」だけでなく、「河内氏続投のための臨時職員への契約変更」についても、正式な手続きが踏まれていたのかは、疑わしい限りである。

新市長(=大坪氏)や幹部たちが、「自分たちの知らないところで、大御所同士(馬場元市長、河内氏、小川元副市長ライン)で取り決めた事」と、勝手に忖度してしまったからこそ、「行政ゾンビ」を生み落としてしまったのではなかろうか? この点についても、きちんと検証されなければならない。

臨時職員として一年を迎えた河内氏が、契約を更新するにあたり、「院長相談役」の処遇について病院幹部の意思統一を図るために、河内氏自身が作成したと思しき文書が、資料9-⑤だが、その内容を見れば、河内氏がどのようにして病院幹部を洗脳していったのか、把握する事ができる。

日額給の獲得に至るまでの足取りがわかる「河内メモ」(=資料9-①から⑤ )は、河内氏が院長相談役になる際にも、このような詐欺的手法を用いたであろうことを髣髴とさせる内容である。「河内メモ」は、事実を知る上で貴重な資料である故、証拠として採用されるべきである。

 

○河内氏が、臨時職員として居座わることに成功した経緯について

1,事務長の忖度

ヒアリングからは、「病院経営専門監の退任時期が迫った頃に、臨時職員として居残ろうと画策した河内氏は、事務長を使って、副市長や職員課との交渉に当たらせていたが、副市長からは、なかなか良い返事がもらえなかった。」というところまでわかっている。

一方で当時の院長①は、副市長時代から市立病院の立て直しを担当してきた河内氏に対して、「経営専門監として残留し、病院を支援して欲しい」という要望をもっていた。その院長①に対して、「院長として続投して欲しい」という要望を持っていた市長や副市長には、いくら老害とは言え、簡単に河内氏の首を切ることはできないでいた。

それがわかる証言として、「臨時職員として続投」の方向で契約の体裁を整えるよう河内氏に指示された小山病院事務長は、副市長にその旨のお伺いを立てた際に、「副市長は黙り込んで答えなかった」と証言している。うんともすんとも言わない状況を見た事務長は、「続投はとっくに決まっているようだった」と、思い込んでしまったわけだが、馬場市長や小川副市長が、「河内続投の必要性は無かった」「続投して欲しいという思いは無かった」と、明確に証言していることからも、小川元副市長が黙り込んでいたのは、ただただ、首を縦に振りたくなかっただけだったと推察される。

ところが、上司の顔色を伺いながら働いてきた事務長とすれば、苦虫を噛み潰している副市長を目の当たりにすれば、「なぜ、わざわざ確認しに来たのか?既定事項に対して、何か不服でもあるのか?」と、副市長に受け取られたのではなかろうか?という不安が、頭をよぎったはずである。だからこそ、「河内続投は、経営トップの既定事項のようだ」という忖度が生まれたと推察できる。

これら河内メモを見る限り、病院幹部のこうした忖度は、強圧的な体質を持った河内氏による心理的操作・誘導によって起きていたことは間違いない。裁判では、この方向での意見陳述になると確信している。

2,「病院の専決」の形跡あり

市長、副市長の心は、河内氏の続投を求める院長に対してどう応えるべきかで、最後まで揺れていたことは間違いない。そして、馬場市長の引退と時を同じくして、院長①も院長から退いている現実を見れば、馬場市長は、河内氏の続投など、指示していない事の証明と言える。

しかし、市長や副市長が、続投について決裁した状況証拠自体が、一切、無い事をもって、市長の決裁では無いと言い切れるかと言えば、実際には、市長、副市長が、院内の誰かに了承する場面は、あったのかもしれないという角度からも考える必要がある。

しかしながら、仮にそのような場面があったとしても、それは、市長や副市長が追認せざるを得ないような展開があったからではないかと想像するに足る、不可解な痕跡も認められる。その痕跡とは、事務決裁の逆転現象である。

本来なら、ある課で職員を雇用する場合、その課の課長補佐によって、まず、上層部に対してお伺いを立てるための回議書が作成される。その回議書は、課長から部長、そして副市長、市長へと回っていき、全員の押印を経て初めて、庁内において決定された事になる。そして、庁内決定が成立した後に、被雇用者との間で、「雇用確認書」をもって契約を取り交わすという道筋になるのだが、河内氏が臨時職員として雇用された経緯は、そういう道筋にはなっていない。

要するに、臨時職員としての契約がまず先にあって、それを事後承諾する形で回議書が回る形となっているのである。そして、「先に契約があり、後から雇用を決定する」などということは、行政事務としてはありえない話である。

正確に言うと、経営専門監の任務最後の日である24年3月末に、雇用確認書(=契約書)が交わされていて、翌日の4月1日に、その契約を認める回議書が作成されている。事務手続きは完全に逆転している。

河内氏を臨時職員で雇うことを決裁するための回議書の方は、4月1日付となっており、最高決裁の印が院長印であることから、本庁はこの契約に関わっていない事がわかる。あくまでも、病院内における決済に基づいて河内氏と契約したことは、「院長決済」の回議書から確か。

河内氏と病院の間で、臨時職員としての雇用契約が結ばれたのは、回議書で雇用決定がなされる前日に当たる3月31日付である。

雇用確認書(=契約書)の方には、雇用主である日野市長と被雇用者である河内氏の双方の押印があるが、行政事務としては、臨時職員の契約にまで、市長本人が、いちいち押印することはなく、病院総務課が市長に代わって、市長印を押すことが慣例となっている。要するに、契約書上は日野市長と契約を交わしたことになってはいるものの、実際には、「病院事務サイドが契約を整えた」という事になるのである。

一方で、回議書に関しては、院長印を、院長の許可なしに押すことはできない。よって、院長の方は、「契約後に事後承諾を求められた」という事になる。即ち、河内氏の臨時職員の登用は、病院総務課が、院長も市長も飛び越して勝手に契約書に押印したことによって成立したという事になるのである。そうであれば、このような事務決裁の逆転現象も、辻褄が合う。

では、なぜ、事務の逆転が起きるほど、急がねばならなかったのかと言えば、副市長から、明確なゴーサインが、ギリギリまで出なかったからである。回議書が準備されていなかったことからも疑う余地なし。副市長にすれば、OKを出す気は無かったにも関わらず、病院サイドは、決定事項と忖度してしまっていた。河内氏からはせっつかれ、もう間に合わない最終段階に至り、待つのを止めて契約に進んだ結果が、この捻じれの理由と取れる。

そして、本庁がこれに気が付いた時には、契約が成立してしまっていた。臨時職員の雇用期間の法的な期限である1年をもって契約は自動的に解消されるので、理事者は、それを待つことにしたのではないか。そして、その時期が、河内氏の首に鈴をつけることのできる唯一の存在であった馬場市長最後の市長選と重なってしまい、選挙のどさくさに紛れて、これまた、本庁の関知の及ばない裏側で、身勝手な契約更新が行われてしまった。要するに、馬場元市長も、河内氏の被害者だと、私は思っている。

3,「院長相談役」は、河内氏による職員の洗脳により誕生した

現実は、「病院直接雇上げ」という河内氏の主張通りに進行した事になるわけで、「臨時職員としての雇用契約」や、「院長相談役という架空の役職」に関しては、どう考えても、河内氏による詐欺的な手法によって行政が乗っ取られた結果、勝ち取られた地位であると考える他ない。

それと、もう一つ、補足するならば、市長には、絶大な裁量権が付与されている。よって、裁判上は「河内続投は、市長の決断によるもの」と表明した方が、明らかに分が良いにも関わらず、馬場市長は、「続投する必要性は無かった」「認めたつもりはない」と発言している事からしても、「成立してしまった契約を破棄して院長との関係を悪くするよりも、契約満了までの一年間を追認した方が良い」という苦渋の選択による容認ではなかったのか?とも考えられるのである。

いずれにせよ、河内氏が、「河内の続投は、市長や院長の意志である」というメッセージを繰り返し発進する事で、日額給に関しても、「市長や院長の承認のもとで要求している」という誤解を職員に与え続けた事が、河内メモからも見えてくることから、日額給は、「詐欺的手法で勝ち取った契約」と言える。

当時70歳という河内氏の年齢を考えたならば、一度、行政の外に出てしまえば、改めて公務員に復帰する事は至難の業である。とにもかくにも、「経営専門監」在職中に、契約の変更と更新を成立させておきたいと焦った結果の「逆転現象」だと考えるのが自然である。

日が悪給のみならず、河内氏の臨時職員としての契約自体も、河内氏に騙され洗脳された職員との間で、市長の同意なく交わされた違法な契約である疑いが濃厚である。

○河内氏が、院長相談役として、院内を支配するに至る経緯について

こうして河内氏は、本庁の理事サイドの知らないところで雇用契約を成立させると同時に、「続投契約は、あくまでも、病院サイドの判断によるもの」というスタンスにスィッチを切り替えた。このスタンス変更によって、「院長の直接雇上げ形式による契約なので、市長や副市長が口を出すべきではない」という、本庁に対する予防線が貼られることになる。以降、契約更新や賃金アップ交渉においても、本庁・職員課の関与が退けられていく。

副市長=庁内ナンバー2であった河内氏の雇用契約が、臨時職員に変更されるにあたり、その契約変更に関与できたのは、ごく少数の人間である。よって、市長の交代や病院幹部職員の異動によって、院内には、河内氏以外、その内実を知る人間が存在しなくなってしまった。その結果、「河内久男は、市長と契約したのではなく病院と契約したのである。よって、本庁の関与は必要ない。」「日額給等に関しても、本庁もその点を了解した上で決められた待遇である。」という彼の勝手な言い分が、まかり通ってしまったものと考えられる。

臨時職員としての契約満了の時期にあたる25年3月末は、馬場市長から大坪市長にバトンタッチする市長選(4月半ば投票)の最中であった。市長選が終わってみたら、河内氏の臨時職員としての契約はドサクサに紛れて、知らない間に更新されていたが、それに気づいて、指導、勧告する事ができる立場にあるたった二人の人間=馬場元市長と小川元副市長は、引退してしまっていた。

新しく誕生した大坪市長は、河内氏の元部下であり、市長選を応援してもらった仲でもあり、河内氏には全く頭が上がらない。ここから、河内氏のやりたい放題が始まることになる。副市長就任以降、15年以上にわたり、日野市立病院に大きな影響力を持ち続けた河内氏と違って、数年で異動してしまう病院幹部たちは、元々、河内氏には逆らえない立場にあったが、馬場市長、小川副市長の去った後は、「病院(=院長)直接雇上げ」方式への切り替えによって、院内は、河内氏にますます支配されていくこととなった。その証拠に、臨時職員の雇用契約の延長は最長1年だが、大坪市政以降、契約は6度にわたり、違法に更新されている。

○河内氏の違法な雇用形態が、行政の私物化を招いた

「自らの臨時職員としての雇用は、病院直接雇上げなので、本庁は関係ない」とする方向転換・整理をもって、河内氏が本庁・職員課を遠ざけたことによって、当初、職員課は、市長よりも高給取りの臨時職員が存在するという認識を有していなかった。かつ、この日額6万円についても、院内における是正が始まるまで、本庁自体、関知していなかった。

かつ、河内氏に仕事を命じ監督する責任者が不在なために、河内氏が、日々、何をやっているのかに関しては、市長や病院トップでさえ、誰一人、知らなかった。しかし、そうかと言って、彼は、全く仕事をしていなかったわけではない。

河内氏本人は、副市長時代から担当してきた日野市の懸案事項については、「院長相談になってからもその任務にあたっていた」と証言しているし、「たかはた保育園の移転問題が片付いた時には、「大坪市長が、直接、病院に出向いて来られ、直にお礼を頂いた」と、ヒアリングに対しても答えている。

そして大坪市長は、その河内氏のことを「余人をもって代え難い」と、議会で評価している。

しかし、彼が深く関与した「たかはた保育園の移転」に関しても、新しく保育園を建てるにあたり、「土地の所有者」、「建設会社」、「保育園を開設する社会福祉法人」の3者に対して、必要以上の優遇がやられているが、ここでもまた、個々の選定に関しては、庁内で稟議した形跡は全く見られない。特に、土地保有者に関しては河内氏の親戚筋にあたるようであるが、庁内のどこの場において、どのような議論を経て、選定に至ったのかについては、不明である。このように、河内氏が絡むと、全く持って、決定過程が不明瞭なことだらけである。このような不透明な状況をして、ドンによる「行政の私物化」と言う。

○「行政の乗っ取り」に屈してはならない。

もし、河内氏の言う事が真実ならば、大坪市長には、病院の臨時職員である河内氏を病院以外の業務で働かせていた事も含めて、河内氏の雇用の異様な実態について自覚があったという事になるわけだが、市長自ら是正に動こうとはしなかった事実が、私物化を許した最大の原因であり、大坪市長最大の失政であることは間違いない。

そして、いくら、「市長の裁量権の範囲内」という理屈をつけようとも、市長に、これほどの不合理な特権を与えるほどの裁量権など、あるわけが無い。よって、この日額給の支給については、合法とは認めがたい。

そして、この間、市を挙げて調査し、把握できたのは、河内氏本人が、勝手に仕事を作り出して自分に発注し、ひたすら働いて蓄財していたという事実だけである。かつ、日野市のトップである大坪市長自身、河内氏が日額給を貰っていたことも知らなければ、彼が普段、何をやっていたのかについても答えられない。

そして、市長以外の管理職に目を向けても、自分が河内氏の監督責任者だと思っている職員は、誰一人いないとなれば、河内氏のやりたい放題に関して、日野市として否定する余地は、一切、無いという事になる。

日野市は、自身の承認欲求を満たすために行政を利用し、趣味的に働いて蓄財していただけの河内氏に対して、「労働に対する対価は当たり前」という立場に立ち、血税を支払うことを合法だと主張しているが、やりたい放題に対して給与を支払う権限は、市長にも無いと考える。

行政職員を言いくるめて、自分の思い通りに税金を注入させてきた、河内氏のその詐欺的手法に対して、「対価を支払うのは当たり前」として、市長や病院幹部が、河内氏の主張通りに報酬を支払い続けた現実は、「行政の乗っ取り」に屈した違法、かつ、恥ずべき事態とも言える。

 

日額6万円に関するまとめ

日野市は、河内氏の雇用形態の特殊性について、市長裁量による特権的な契約と説明している。その主張に基づけば、河内氏は、「市長の裁量権下」の縛りの下に働いていなければならない。その河内氏と日野市との間で契約が成立した「日額6万円の報酬」契約に関しても、「市長特命事項の対価」とされている事、則ち、特殊事項である事に鑑み、市長の決裁に委ねるべき案件である。

ところが、大坪市長も馬場市長も、この契約自体を関知していないと証言している。よって、市長の認識の外で、その了解なく契約されたこの契約については、成立条件(市長の承認)を満たしていない事は明らかである。かつ、河内氏が総務課長を翻弄して、不当に結ばせた契約であることが、河内氏本人が残した証拠(河内メモ)により、明らかである。よって、違法、無効と言える。

そして、「仮に、契約が違法、無効でも、労働の提供があった以上は、その対価は支払われるべきである」という主張に関しても、このケースにおいては、理事者の了解なき所で結ばれた「河内氏と職員との私的契約」に対する対価を、日野市民の血税で支払ってきた実態があるに過ぎない。

労働の対価は日額6万円と明確だが、その労働そのものの実態は、誰一人、把握しておらず、具体体に証明できる人間はいない。理事者の了承無きもとで結ばれた契約であるが故に、その理事者の点検・監督の及ばない形での労務提供であり、対価を支払うに足る労働が行われたことが証明できない以上、架空労働に対して支払うも同然である。

よって、行政契約とはとても呼べない架空契約に基づいた河内氏の労働に対する対価というのは、理事者の判断を仰がずに、独断でこの契約を決裁した総務課長①が支払うべき性質のものである。

日野市は、総務課長①(=当時の病院参事)に返還請求をすべきであり、総務課長①をして、日額給の支払いをスタートさせざるを得ない原因が、河内氏の詐欺的手法にあったことを総務課長①自身も認めるのであれば、総務課長①自身が、資料9-③で、河内氏が宣誓したその言葉(「全責任は私・河内にある」)に則って、河内氏に対して全責任を取ってもらうべき性質の案件と言える。